甲種2類/乙種2類

泡消火設備の仕組み|消火原理・膨張比・構成を法令で整理

泡消火設備は、水と泡消火薬剤を一定の濃度で混合し、空気などを取り込んで泡を発生させ、燃焼面を覆う設備です。水だけの放射が適さない可燃性液体火災などに用いられます。

この記事では、消防法施行令・消防法施行規則の現行本文に沿って、消火原理、設備の流れ、泡放出口、膨張比、25%還元時間を整理します。

この記事の範囲
防火対象物に設ける泡消火設備の全体像を扱います。危険物施設には別の技術基準もあるため、同じ設置場所・薬剤・放射方式を一律に当てはめることはできません。

泡ができるまでの流れ

配管内を流れる「泡水溶液」と、空気を含んだ「泡」は別のものです。基本の流れを順番に並べると、次のようになります。

泡消火薬剤
泡水溶液
+空気等→
  1. 水源から加圧送水装置で水を送る
  2. 混合装置で泡消火薬剤を所定の濃度に混合し、泡水溶液を作る
  3. 泡水溶液を配管で泡放出口へ送る
  4. 泡放出口または泡発生機で空気などを混入し、泡を放出する

混合方式や空気を取り込む構造には複数の方式があります。消防庁の点検要領も、製造業者により機能が異なるため、混合器、送液装置、調整機構、配管上の制限を設計図書で確認するよう求めています。

主な消火原理は燃焼面の被覆と冷却

泡は燃焼面を覆い、空気との接触や可燃性蒸気の放出を抑えます。さらに、泡に含まれる水分が熱を奪うため、冷却にも働きます。

  • 窒息・蒸気抑制:泡の層で燃焼面を覆い、空気との接触と可燃性蒸気の発生を抑える
  • 冷却:泡水溶液に含まれる水分が熱を吸収する
  • 再燃防止:泡の層を保ち、燃焼面が再び露出するのを抑える

「油火災には水を使えない」と一括して覚えるのは正確ではありません。燃料の性質、設備、放射方法により適切な消火剤は異なります。この記事は設備の仕組みを説明するもので、実際の火災時の放射判断を示すものではありません。

泡消火設備の主な構成

構成 役割
水源 泡水溶液のもとになる水を確保する
加圧送水装置 必要な流量・圧力で水または泡水溶液を送る
泡消火薬剤貯蔵槽 必要量の薬剤を貯蔵する
混合装置・加圧送液装置 水と薬剤を設計濃度で混合する
配管・弁類 泡水溶液を放射区域または接続口へ送る
泡放出口 空気などを取り込み、所定の泡を放出する
起動・警報・非常電源 設備を起動し、作動を知らせ、停電時の電源を確保する

すべての設備が同じ構成や配置になるわけではありません。泡消火薬剤の種別、混合方式、固定式・移動式、防護対象によって構成が変わります。

固定式と移動式の違い

固定式

泡放出口を防護対象に対応する位置へ固定し、配管から泡水溶液を送る方式です。主な泡放出口には、フォームヘッド、フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッド、高発泡用泡放出口があります。

消防法施行規則第18条は、火災時に著しく煙が充満するおそれがある場所では固定式とすることを定めています。道路の用に供される部分も、屋上部分を除いて固定式が原則です。

移動式

格納箱からホースとノズルを取り出し、ホース接続口の弁を開いて人が泡を放射する方式です。消防法施行令第15条では、ホース接続口までの水平距離、ホースの到達範囲、格納箱の位置などが定められています。

移動式に使用できる泡消火薬剤は低発泡に限られます。また、人が接近して操作する方式なので、設置できる場所は煙の滞留などの条件による制限を受けます。

膨張比と泡放出口の区分

膨張比は、発生した泡の体積を、その泡を作るために使った泡水溶液の体積で割った値です。

膨張比 = 発生した泡の体積 ÷ 使用した泡水溶液の体積

消防法施行規則第18条の現行区分は次のとおりです。

泡の種別 膨張比 泡放出口
低発泡 20以下 泡ヘッド
高発泡 80以上1,000未満 高発泡用泡放出口

20を超え80未満を「第2種」とは呼びません。
第1種・第2種・第3種は、高発泡用泡放出口を膨張比でさらに分けた区分です。低発泡・中間・高発泡を順に第1〜第3種とする整理ではありません。

高発泡用泡放出口の第1種〜第3種

高発泡の区分 膨張比
第1種 80以上250未満
第2種 250以上500未満
第3種 500以上1,000未満

高発泡は、全域放出方式または局所放出方式として設計されます。第1〜第3種の区分は、必要な泡水溶液放出量の計算にも使われます。

25%還元時間が表すもの

25%還元時間は、泡を作るのに使った泡水溶液量の25%が、泡から液体として排出されるまでの時間です。「泡全体が消えるまでの時間」ではありません。

この値は、泡が水分を保持する性質や流動性を確認する指標の一つです。泡消火薬剤の技術上の規格では、使用条件や薬剤の区分に応じて発泡性能と還元時間の基準が設けられています。

還元時間が長いほど無条件に優れた薬剤になるわけではありません。対象物への広がり方、消火性能、混合濃度、設備との適合も含めて判断します。

泡消火薬剤の主な種別

泡消火薬剤の技術上の規格では、主に次の名称が使われています。

  • たん白泡消火薬剤
  • 合成界面活性剤泡消火薬剤
  • 水成膜泡消火薬剤

薬剤名だけから、あらゆる設置場所での適否や混合濃度を決めることはできません。消防法施行規則第18条では、防火対象物の部分と薬剤の種別に応じてフォームヘッドの放射量が異なります。製品の混合濃度と設備の設計条件も確認が必要です。

設置対象は消防法施行令第13条で確認する

防火対象物に設ける水噴霧消火設備等の設置対象は、消防法施行令第13条に定められています。泡消火設備が関係する代表例には、次の部分があります。

  • 飛行機または回転翼航空機の格納庫
  • 屋上のうち、回転翼航空機などの発着に使う部分
  • 一定規模以上の道路の用に供される部分
  • 一定規模以上の自動車の修理・整備部分
  • 一定規模以上または一定の収容台数を持つ駐車部分
  • 指定可燃物を一定量以上貯蔵・取り扱う部分

ただし、第13条の表では、場所により泡消火設備以外の消火設備も選択肢になります。「駐車場なら必ず泡」「格納庫なら必ず高発泡」のようには決まりません。床面積、階、構造、収容台数、防護対象などを条文と設計条件に照らして判断します。

危険物の製造所・貯蔵所・取扱所は、危険物の規制に関する政令・規則など別の体系も確認します。防火対象物の第13条と危険物施設の基準を混同しないことが重要です。

2026年改正とPFOS等を含む泡消火薬剤

2026年3月6日の消防法施行規則改正では、駐車の用に供される部分に設ける泡消火設備のうち、火災拡大を初期に抑制できるものとして消防庁長官が定める性能を持つ設備について、性能に応じた放射量とできる仕組みが設けられました。消防庁の点検資料では、特定駐車場用泡消火設備の点検区分も整備されています。

背景には、必要な消火性能を確保しながら、PFOS等を含有しない薬剤への切替えを進める目的があります。

一方で、既設の泡消火薬剤がすべてPFOS・PFOAを含むわけではありません。また、規制前に製造された含有薬剤は、存在するだけで直ちに一律使用禁止になるという整理でもありません。環境省は、型式番号などで含有の有無を確認し、漏出を防いで適切に管理・処理するとともに、点検などの機会に代替を検討するよう案内しています。

実務上の注意
薬剤交換や設備改修では、既設薬剤の判定、設備との適合、洗浄・回収、廃棄物処理をまとめて検討します。含有の有無を未確認のまま放出・排水しないことが重要です。

甲種2類・乙種2類での学習順序

消防試験研究センターの試験科目表では、甲種第2類の実技は鑑別等5問と製図2問、乙種第2類の実技は鑑別等5問です。公式公開問題は過去問題の一部を例示したもので、出題頻度や配点統計を示す資料ではありません。

  1. 水、薬剤、泡水溶液、泡の順序を説明できるようにする
  2. 貯蔵槽、混合装置、配管、泡放出口の役割を区別する
  3. 固定式と移動式の違いを押さえる
  4. 低発泡・高発泡と、高発泡の第1〜第3種を分ける
  5. 25%還元時間の定義を正確に覚える

オリジナル理解度チェック

問題1

泡ができる基本の順序として正しいものはどれですか。

(1)水+空気→薬剤→泡 (2)水+薬剤→泡水溶液+空気等→泡 (3)薬剤+空気→水→泡

解答を見る

正解:(2)

まず水と薬剤を混合して泡水溶液を作り、放出口または泡発生機で空気などを取り込んで泡にします。

問題2

消防法施行規則第18条で低発泡とされる膨張比はどれですか。

(1)20以下 (2)20を超え80未満 (3)80以上1,000未満

解答を見る

正解:(1)

現行条文では、低発泡は膨張比20以下、高発泡は80以上1,000未満です。

問題3

膨張比300の高発泡用泡放出口は、第1種〜第3種のどれですか。

(1)第1種 (2)第2種 (3)第3種

解答を見る

正解:(2)

第2種は250以上500未満です。第1〜第3種はすべて高発泡の内部区分です。

問題4

25%還元時間の説明として正しいものはどれですか。

(1)泡がすべて消えるまでの時間 (2)使用した泡水溶液の25%が泡から液体として排出されるまでの時間 (3)薬剤の25%を交換するまでの時間

解答を見る

正解:(2)

泡全体が消える時間ではなく、泡水溶液量の25%が排液するまでの時間です。

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参考資料

法令・告示は改正されます。実務で利用するときは、最新の条文、設計図書、薬剤の仕様、所轄消防機関の運用を確認してください。

独学が不安な方へ

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