受信機の点検は「表示・導通・電源・音響」で分ける
受信機は、感知器や発信機からの火災信号を受け、火災の発生と警戒区域を表示し、主音響装置や地区音響装置を作動させる機器です。
この記事では、甲4・乙4の学習で混同しやすい受信機の確認項目を、表示・導通・電源・音響に分けて整理します。実際の法定点検は、消防法17条の3の3、消防法施行規則、消防庁の点検基準・点検要領、設計図書、機器仕様に従って行います。
| 区分 | 確認する内容 | 学習上のポイント |
|---|---|---|
| 外観・表示 | 損傷、腐食、表示灯、スイッチ位置、銘板 | まず目視で異常を拾う |
| 火災表示 | 火災灯、地区表示、主音響、地区音響 | 火災信号を受けたときの表示と鳴動 |
| 導通 | 終端器に至る信号回路の状態 | P型1級の導通試験装置と関連づける |
| 同時作動 | 2回線から同時に信号を受けたときの火災表示 | 「二回線」を押さえる |
| 予備電源 | 停電時の切替え、容量、電圧 | 監視状態と作動電流を分けて整理 |
| 音響・スイッチ | 音響停止、再鳴動、スイッチ注意灯 | 停止したままにならない仕組み |
外観点検
機能確認の前に、受信機の外観を確認します。外箱の損傷や腐食、表示灯の状態、スイッチが通常位置に戻っているか、端子やヒューズに異常がないかを見ます。
受信機規格省令では、取扱い・保守点検・部品交換が容易であること、腐食により機能異常を生じるおそれがある部分には防食措置を講じること、接続が的確であることなどが示されています。実務の点検でも、機能試験だけでなく、目視で分かる異常を先に拾うことが重要です。
火災表示試験
火災表示試験では、感知器や発信機から火災信号が入ったとき、受信機が正しく火災表示をするかを確認します。
地区表示:発報した警戒区域を表示するか
主音響装置:受信機側の音響が鳴るか
地区音響装置:建物内へ知らせる音響が鳴るか
受信機規格省令6条では、受信機は火災信号又は火災表示信号を受信したとき、赤色の火災灯、主音響装置、地区表示装置、地区音響装置で火災を知らせるものとされています。
また、火災表示は、手動で復旧しない限り表示状態を保持することが原則です。例外としてP型3級受信機などがありますが、P型2級もこの原則側で整理するのが安全です。
導通試験
導通試験は、受信機から終端器に至る信号回路がつながっているかを確認する考え方です。感知器回路の途中で断線していると、火災信号を正しく受けられません。
P型1級受信機について、受信機規格省令8条では、火災表示試験装置と、終端器に至る信号回路の導通を回線ごとに確認できる導通試験装置による試験機能が示されています。ただし、接続できる回線数が1のものは導通試験装置による試験機能を有しないことができます。
P型2級受信機は5回線以下の区分で、火災表示試験装置による試験機能が示されています。一方で、P型1級と同じ導通試験装置を持つ、と整理すると危険です。学習では、P型1級は導通試験装置が論点、P型2級は5回線以下と火災表示試験装置が論点と分けて押さえます。
同時作動の確認
受信機は、複数回線から同時に火災信号を受ける場合にも、火災表示できる必要があります。
受信機規格省令8条では、P型1級受信機について「二回線から火災信号又は火災表示信号を同時に受信したとき、火災表示をすることができること」が示されています。P型2級受信機も、同条の関係で二回線同時受信時の火災表示を扱います。
覚える軸:同時に見るのは「全回線」ではなく二回線です。P型2級を「同時作動に関係しない」と覚えるのも危険なので、二回線同時受信時の火災表示として整理します。
予備電源の確認
受信機には主電源のほかに予備電源を設けるのが原則です。ただし、接続できる回線数が1のP型2級受信機やP型3級受信機など、例外もあります。
受信機規格省令では、予備電源について、主電源停止時には主電源から予備電源へ、主電源復旧時には予備電源から主電源へ自動的に切り替えることが示されています。
| 項目 | 整理 |
|---|---|
| 監視状態 | 60分間継続 |
| その後の作動 | 2警戒区域の回線を作動できる消費電流を10分間継続 |
| 地区音響装置を接続している場合 | 接続されるすべての地区音響装置を同時に鳴動できる消費電流も加える |
短い語呂だけで覚えると不足します。正確には、P型・R型受信機用の予備電源は、監視状態を60分継続した後、2警戒区域の回線を作動させる消費電流を10分間流せる容量で、地区音響装置を接続している場合はその同時鳴動分も含めます。
火災復旧とスイッチ注意灯
火災表示は、手動で復旧しない限り表示状態を保持するのが原則です。火災復旧スイッチは、火災確認後に受信機を通常の監視状態へ戻すために使います。
復旧操作をしても、感知器や発信機側が火災信号を出し続けていれば、再び火災表示になります。これは受信機の異常ではなく、信号が残っているためです。
また、受信機に定位置へ自動的に復旧しないスイッチがある場合、そのスイッチが定位置にないときは、音響装置又は点滅する注意灯が作動することが示されています。点検後に音響停止などのスイッチを戻し忘れないための確認項目です。
地区音響停止と再鳴動
地区音響停止スイッチを設ける場合でも、停止状態のまま火災信号を見逃す構成にはできません。
受信機規格省令では、地区音響停止スイッチが停止状態にある間に受信機が火災表示をする程度の信号を受信したとき、一定時間以内に地区音響装置を鳴動させる状態へ移行することが示されています。火災表示中に停止状態とした場合でも、新たな信号を受けたときは自動的に鳴動状態へ移行します。
P型1級とP型2級の違い
受信機の点検・試験では、P型1級とP型2級の違いを雑に覚えると誤りが出ます。P型2級の試験機能と表示保持は、受信機規格省令の文言に沿って分けて確認します。
| 項目 | P型1級 | P型2級 |
|---|---|---|
| 回線数 | 複数回線を扱う区分 | 5回線以下 |
| 火災表示試験 | 装置による試験機能あり | 装置による試験機能あり |
| 導通試験装置 | 回線ごとに導通を確認する装置が論点 | P型1級と同じ導通試験装置として覚えない |
| 二回線同時 | 二回線同時受信時に火災表示 | 二回線同時受信時に火災表示 |
| 火災表示の保持 | 手動復旧まで保持 | 手動復旧まで保持 |
まとめ
- 火災表示試験では、火災灯、地区表示、主音響、地区音響を確認する。
- P型1級は、火災表示試験装置と導通試験装置が論点になる。
- P型2級は5回線以下で、火災表示試験装置による試験機能を持つ。
- 同時作動は、二回線から同時に信号を受けたときの火災表示として整理する。
- 予備電源は、監視状態を60分継続する容量と、その後10分の作動電流を分けて見る。
- P型2級も、火災表示は手動復旧まで保持される側で整理する。
まとめ問題
問題1
P型2級受信機について、誤っているものはどれか。
(1)接続できる回線数は5以下である
(2)火災表示試験装置による試験機能を有する
(3)火災表示は原則として手動復旧まで保持される
(4)P型1級の導通試験装置まで同じと覚える
問題2
P型・R型受信機用の予備電源容量の整理として、最も近いものはどれか。
(1)監視状態30分の後、1警戒区域を5分作動させる
(2)監視状態60分の後、2警戒区域の回線を作動させる消費電流を10分継続する
(3)常に全回線を60分鳴動させる
(4)予備電源はすべてのP型2級受信機で不要である
問題3
同時作動の確認で押さえる数として正しいものはどれか。
(1)全回線
(2)任意の半数
(3)二回線
(4)一回線のみ
問題4
火災表示の保持について、正しいものはどれか。
(1)P型2級は感知器が復旧すると常に自動で表示が消える
(2)火災表示は原則として手動で復旧しない限り保持される
(3)火災表示は10分後に自動復旧する
(4)火災表示の保持はR型だけの機能である
次のステップ
確認メモ:本記事は、受信機規格省令と消防法施行規則で確認できる範囲を中心に、甲4・乙4の学習向けに整理しています。実際の点検・整備では、点検基準・点検要領、設計図書、機器仕様、所轄消防の運用を確認してください。
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