結論から言います。
甲種1類の試験には製図試験があります。製図試験は甲種だけの科目で、乙種にはありません。水系消火設備の図記号を読み書きし、系統図や配管図を理解できることが求められます。
「製図の基礎|図記号・凡例・系統図の読み方」では甲種4類(自火報)の製図を解説しましたが、甲種1類の製図は水系消火設備が対象です。配管の口径選定・ポンプの揚程計算・ヘッドの配置など、4類とはまったく異なる知識が必要になります。
水系消火設備の図記号
機器の図記号
水系消火設備で使用する主な図記号を整理します。試験では「この記号は何か」「この機器の記号を描け」という形で出題されます。
| 機器名 | 図記号の特徴 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 消火ポンプ | 丸の中にPの文字 | Pump のP |
| 屋内消火栓 | 二重丸(◎) | 消火栓箱を上から見た形 |
| スプリンクラーヘッド(閉鎖型) | ●(黒丸) | ヘッドを真下から見た形 |
| スプリンクラーヘッド(開放型) | ○(白丸) | 閉鎖型=黒、開放型=白 |
| 流水検知装置 | 丸の中にAの文字 | Alarm弁のA |
| 一斉開放弁 | 丸の中にDの文字 | Deluge弁のD |
| 末端試験弁 | 丸の中にTの文字 | Test弁のT |
| 送水口 | 丸の中にSの文字 | Send(送る)のS |
| 呼水槽 | 四角の中にWの文字 | Water のW |
| 水源(水槽) | 四角の中に波線 | 水面のイメージ |
Pump・Alarm・Deluge・Test・Send・Water
これを覚えれば、図記号は一気に頭に入ります。
バルブの図記号
「配管・バルブ・継手の種類と施工方法」で学んだバルブにも、それぞれ固有の図記号があります。
| バルブ名 | 図記号の特徴 |
|---|---|
| 仕切弁(ゲートバルブ) | 配管を横切る線の上に逆三角形 |
| 逆止弁(チェックバルブ) | 配管上の三角形(流れ方向を示す) |
| バタフライ弁 | 配管上の菱形 |
| 安全弁(リリーフ弁) | 三角形に矢印(圧力の逃がし方向) |
| 減圧弁 | 三角形を2つ向かい合わせ |
配管の表記
配管は実線で描きます。配管の口径は数字で表記します。
- 主管(立管・横引管) ── 太い実線
- 枝管 ── 細い実線
- 口径の表記 ── 配管の横に「100A」「65A」のように記載(Aはmm単位の呼び径)
口径の「A」は日本の呼び径の単位で、たとえば100Aは外径約114mmの管です。試験では口径の数値がそのまま出題されるので、主要な口径(25A・32A・40A・50A・65A・80A・100A)を覚えておきましょう。
系統図の読み方
系統図とは
系統図は、水系消火設備の水源からヘッド(または消火栓)までの配管経路を模式的に描いた図です。実際の建物の配置ではなく、機器の接続関係を理解するための図です。
屋内消火栓設備の系統図
屋内消火栓設備の系統図には、次の要素が上流から下流に向かって描かれます。
系統図には送水口も描かれます。送水口は消防ポンプ車から水を送り込むための接続口で、建物の外壁に設置されます。ポンプが故障した場合のバックアップとして機能します。
スプリンクラー設備の系統図
スプリンクラー設備の系統図は屋内消火栓とほぼ同じ構成ですが、次の要素が加わります。
- 流水検知装置(アラーム弁) ── 各階の立管に設置。水の流れを検知して信号を送る
- 制御弁 ── 流水検知装置の手前。点検時に各階ごとに水を止められる
- 末端試験弁 ── 配管末端。放水試験用
- 補助散水栓 ── ヘッドの死角をカバーする小型の消火栓
系統図を読むポイント
②バルブの位置と種類を確認 ── 仕切弁・逆止弁・制御弁がどこにあるか
③口径の変化を確認 ── 主管から枝管に行くほど細くなる
平面図の読み方と描き方
平面図とは
平面図は、建物の各階を上から見た図に、消火栓やスプリンクラーヘッドの位置・配管ルートを描いたものです。系統図が「接続関係」を示すのに対し、平面図は「実際の配置」を示します。
スプリンクラーヘッドの配置ルール
平面図でヘッドを配置する際に守るべきルールは次のとおりです。「スプリンクラー設備の技術基準」で解説した内容の復習です。
- ヘッド間の距離 ── 有効散水半径の範囲内で、部屋の各部が防護されるよう配置
- 壁からの距離 ── ヘッドは壁から一定距離離す(壁に近すぎると散水パターンが片寄る)
- 取付面の高さ ── 天井面(取付面)の高さが10m以下であること
- 障害物の回避 ── ダクト・梁などの障害物がヘッドの散水を妨げないこと
屋内消火栓の配置ルール
- 防護範囲 ── 建物のすべての部分が消火栓の水平距離内に入ること(1号:25m、2号:15m、広範囲型2号:25m)
- 階段付近への配置 ── 各階の階段室付近に1か所は設置するのが一般的
- 開閉弁の高さ ── 床面から1.5m以下
配管ルートの描き方
平面図に配管を描くときの基本ルールです。
- 立管の位置 ── 丸囲みで表示。通常はパイプシャフト(PS)内に設置
- 横引管 ── 立管から各消火栓またはヘッドまでの水平配管を実線で描く
- 口径の記載 ── 配管の横に口径を明記(例:65A、50A、32A)
- バルブの位置 ── 制御弁・仕切弁などの位置を図記号で表示
凡例と図面の読み方
凡例(レジェンド)
製図には必ず凡例が付きます。凡例は図面上で使われている図記号とその意味を一覧にしたものです。試験では、凡例を参照して図面を正しく読み取ることが求められます。
凡例の例:
| 記号 | 名称 |
|---|---|
| ◎ | 屋内消火栓 |
| ● | 閉鎖型スプリンクラーヘッド |
| ○ | 開放型スプリンクラーヘッド |
| Ⓟ | 消火ポンプ |
| Ⓐ | 流水検知装置 |
| Ⓣ | 末端試験弁 |
| Ⓢ | 送水口 |
図面から読み取るべき情報
試験では図面を見て次のような情報を読み取る(または誤りを指摘する)問題が出ます。
- 配管口径は適切か ── 同時使用する消火栓/ヘッドの数に対して口径が足りているか
- バルブの位置は適切か ── 逆止弁がポンプ吐出側にあるか、制御弁が流水検知装置の手前にあるか
- ヘッドの配置は適切か ── 防護範囲に死角がないか、障害物の影響はないか
- 消火栓の防護範囲 ── 水平距離が規定以内で建物全体をカバーしているか
甲4と甲1の製図の違い
甲種4類の製図と甲種1類の製図は、考え方が根本的に異なります。
甲4が「電気の製図」なら、甲1は「配管の製図」です。次の記事「配管の流体力学」で学んだハーゼンウィリアムズ式を使った水力計算が、製図試験の核心部分になります。
まとめ問題
記事の内容を理解できたか、4問のクイズで確認しましょう。
【問題1】水系消火設備の図記号について、正しい組み合わせはどれか。
(1)丸の中にP → 流水検知装置
(2)丸の中にA → 消火ポンプ
(3)丸の中にT → 末端試験弁
(4)丸の中にD → 送水口
【問題2】スプリンクラーヘッドの図記号について、正しいものはどれか。
(1)閉鎖型ヘッドは白丸(○)で表す
(2)開放型ヘッドは黒丸(●)で表す
(3)閉鎖型ヘッドは黒丸(●)で表す
(4)閉鎖型・開放型とも同じ記号で表す
【問題3】屋内消火栓設備の系統図において、ポンプの吐出側に設置されるバルブの組み合わせとして正しいものはどれか。
(1)仕切弁のみ
(2)逆止弁のみ
(3)逆止弁と仕切弁
(4)減圧弁と安全弁
【問題4】スプリンクラー設備の系統図で、流水検知装置(アラーム弁)の設置位置として正しいものはどれか。
(1)水源と消火ポンプの間
(2)消火ポンプの吐出側直後
(3)各階の立管(制御弁の二次側)
(4)末端試験弁の直前