乙種7類

漏電火災警報器の設置義務|施行令第22条・ラスモルタル造・50A超をわかりやすく解説

どんな建物に漏電火災警報器が必要? ── 結論から言います

漏電火災警報器の設置が義務づけられるのは、ひと言でいうと「ラスモルタル造の壁・天井・柱がある建物で、一定の面積を超えるもの」です。

根拠は施行令第22条。設置対象を決める判断基準は2つだけ:

  1. 構造 ── 建築物の壁・天井・柱が「ラスモルタル造」かどうか
  2. 面積 ── 延べ面積(または床面積)が基準を超えるかどうか

自火報の設置義務が「用途×面積」で決まるのに対し、漏電火災警報器は「構造×面積」で決まるのが特徴です。用途(病院か店舗かなど)は関係ありません。

施行令第22条を読んでみよう

まず条文の内容を確認しましょう。

消防法施行令 第22条(漏電火災警報器に関する基準)

漏電火災警報器は、次に掲げる防火対象物に設置するものとする。

別表第一に掲げる建築物で、その間柱(まばしら)若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの壁、根太(ねだ)若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの床又は天井野縁(てんじょうのぶち)若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの天井を有するものの契約電流容量が50アンペアを超えるもの

条文が長いですね。現代語に翻訳しましょう。

現代語訳

以下の両方に該当する建物には、漏電火災警報器を設置しなさい:

条件1:壁・床・天井の中に金属製の網(ラス)が入っていて、その下地が木材など燃えやすい材料でできている

条件2:その建物の契約電流容量が50Aを超えている

「ラスモルタル造」を詳しく理解しよう

ラスモルタル造とは

漏電火災警報器の構造と動作原理」の記事でも触れましたが、ラスモルタル造とは壁や天井の下地に金属製の網(メタルラス・ワイヤラス)を張り、その上にモルタルを塗った構造です。

条文では「鉄網入りの壁・床・天井」と表現されています。ポイントは3つ:

ポイント1
金属の網が入っている
メタルラスやワイヤラスなど、導電性のある金属網が壁・床・天井の中にある
ポイント2
下地が可燃性
間柱・根太・天井野縁などの下地が「準不燃材料以外」=木材などの燃えやすい材料
ポイント3
電線が近くにある
壁の中の電線と金属網が接触し得る距離にある ── 漏電→発熱→火災のリスク

つまり、「金属の網」+「可燃性の下地」+「電線」という3つが揃ったときに漏電火災のリスクが生まれるわけです。

対象にならない構造

逆に、以下のような建物はラスモルタル造に該当せず、設置義務はありません。

  • 鉄筋コンクリート造(RC造) ── 金属網を使わない。下地も不燃材料
  • 鉄骨造(S造) ── 下地が鉄骨(不燃材料)なので対象外
  • 下地が準不燃材料以上 ── 金属網があっても下地が準不燃材料なら対象外
  • 金属網を使わない木造 ── ラスがなければ漏電経路がないので対象外

契約電流容量 ── 50Aを超えるもの

構造がラスモルタル造であっても、契約電流容量が50A以下なら設置義務はありません。

契約電流容量とは

契約電流容量とは、電力会社との契約で決まる「建物が使える電流の上限」のことです。

  • 50A以下 ── 一般的な住宅レベル → 設置不要
  • 50Aを超える ── 店舗・事務所・中規模以上の建物 → 設置義務あり

なぜ50Aで線引きするのか? それは、電流容量が大きい建物ほど配線が多く、漏電のリスクが高くなるからです。小さな住宅は配線も少なく、漏電火災のリスクが相対的に低いため除外されています。

設置対象の判定フロー

実際の試験では「この建物に漏電火災警報器は必要か?」と聞かれます。判定フローで整理しましょう。

漏電火災警報器の設置判定フロー
壁・床・天井に金属網(ラス)が入っているか?
YES
NO → 設置不要
下地は準不燃材料以外(木材など)か?
YES
NO → 設置不要
契約電流容量は50Aを超えるか?
YES
NO → 設置不要
漏電火災警報器の設置義務あり

自火報との比較

自火報と漏電火災警報器の設置義務を比べると、判断基準の違いがよくわかります。

自動火災報知設備
判断基準:用途 × 面積
:病院は面積不問、百貨店は300㎡以上
根拠:施行令21条
考え方:人がいる場所の火災を素早く知らせる
漏電火災警報器
判断基準:構造 × 契約電流容量
:ラスモルタル造で50A超
根拠:施行令22条
考え方:漏電で火災が起きやすい構造を守る

自火報が「誰がいるか(用途)」で判断するのに対し、漏電火災警報器は「どんな構造か」で判断する ── この違いは試験でもよく問われます。

まとめ問題

第1問

漏電火災警報器の設置義務について、正しいものはどれか。

(1)特定防火対象物には面積にかかわらず設置義務がある
(2)ラスモルタル造で契約電流容量が50Aを超える建物に設置義務がある
(3)延べ面積300㎡以上の建物に設置義務がある
(4)鉄筋コンクリート造の建物にも設置義務がある

解答を見る

正解:(2)
漏電火災警報器の設置義務は「用途」や「面積」ではなく、「構造(ラスモルタル造)」と「契約電流容量(50A超)」で決まります。鉄筋コンクリート造は金属ラスを使わないため対象外です。

第2問

次の建物のうち、漏電火災警報器の設置義務がないものはどれか。

(1)ラスモルタル造の壁を有する木造建物で、契約電流容量が60Aのもの
(2)鉄網入りの天井を有し、天井野縁が木材の建物で、契約電流容量が75Aのもの
(3)鉄網入りの壁を有するが、間柱が準不燃材料の建物で、契約電流容量が100Aのもの
(4)鉄網入りの壁を有し、間柱が木材の建物で、契約電流容量が80Aのもの

解答を見る

正解:(3)
条文は「下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの壁」を対象としています。(3)は間柱が準不燃材料なので、金属網があっても設置義務の対象外です。下地が燃えにくければ、漏電で発熱しても周囲に着火するリスクが低いからです。

第3問

漏電火災警報器と自動火災報知設備の設置義務の判断基準の違いについて、正しいものはどれか。

(1)どちらも建物の用途と面積で設置義務が決まる
(2)漏電火災警報器は建物の構造と契約電流容量で設置義務が決まる
(3)漏電火災警報器は建物の用途と契約電流容量で設置義務が決まる
(4)自動火災報知設備は建物の構造と面積で設置義務が決まる

解答を見る

正解:(2)
自火報は「用途×面積」、漏電火災警報器は「構造×契約電流容量」で判断します。漏電火災警報器は建物の用途に関係なく、ラスモルタル造の構造と50A超の電流容量で設置義務が生じます。

第4問

ラスモルタル造の説明として、誤っているものはどれか。

(1)壁の下地に金属製の網(メタルラス)を使用した構造である
(2)電線の絶縁劣化により金属ラスに電流が漏れ、火災になるおそれがある
(3)鉄筋コンクリート造の建物もラスモルタル造に該当する
(4)下地が木材など可燃性の材料であることが漏電火災のリスクを高める

解答を見る

正解:(3)
鉄筋コンクリート造(RC造)は金属ラスを使用せず、下地も不燃材料であるため、ラスモルタル造には該当しません。ラスモルタル造は木造や鉄骨造で壁の仕上げに金属網+モルタルを使った構造を指します。

-乙種7類