結論:オームの法則は「電圧=電流×抵抗」
結論から言います。
オームの法則とは、回路の中の電圧(V)・電流(I)・抵抗(R)の関係を表す、電気の最も基本的な公式です。
この公式さえ押さえれば、あとは変形するだけで電流も抵抗も求められます。
甲種4類の「電気に関する基礎知識」では、この公式を使った計算問題が毎回のように出題されます。ここでしっかり身につけましょう。
試験での出題頻度
甲種4類の「電気に関する基礎知識」で毎回1〜2問出題されます。とくに合成抵抗の計算(直列・並列・混合)は定番中の定番。ここを落とすと電気分野の得点が大きく下がるので、確実に得点できるようにしましょう。
オームの法則の3つの変形
オームの法則は、求めたいものに合わせて3パターンに変形できます。
| 求めたいもの | 公式 | 意味 |
|---|---|---|
| 電圧 V | V = I × R | 電流と抵抗がわかれば電圧が出る |
| 電流 I | I = V ÷ R | 電圧と抵抗がわかれば電流が出る |
| 抵抗 R | R = V ÷ I | 電圧と電流がわかれば抵抗が出る |
覚え方のコツ
「V = I × R」だけ覚えてください。あとは小学校の「き・は・じ(距離=速さ×時間)」と同じで、求めたいものを隠せば残りの式になります。
Iを隠す → V÷R が残る
Rを隠す → V÷I が残る
計算してみよう
問題:抵抗が 10Ω の回路に 2A の電流が流れている。電圧はいくらか?
V = I × R = 2 × 10 = 20V
このように、公式に数字を当てはめるだけで答えが出ます。
直列回路とは?
直列回路とは、抵抗(部品)が一本道で順番につながっている回路のことです。
直列回路の3つのポイント
1. 合成抵抗は「足し算」
直列では、抵抗を通るたびに電流の流れがどんどん妨げられるので、抵抗値はすべて足し算になります。
2. 電流はどこでも同じ
一本道なので、回路のどの地点でも同じ大きさの電流が流れます。分岐がないから当然ですね。
3. 電圧は各抵抗で分かれる
電源の電圧が各抵抗で分配されます。抵抗が大きい部品ほど、多くの電圧を受け持ちます。
| 特徴 | 直列回路 |
|---|---|
| 合成抵抗 | 足し算(元の抵抗より大きくなる) |
| 電流 | どこでも同じ |
| 電圧 | 各抵抗に分配される |
直列回路の計算例
問題:10Ω と 20Ω の抵抗を直列につないで、電圧 30V をかけた。回路に流れる電流はいくらか?
ステップ1:合成抵抗を求める
R = 10 + 20 = 30Ω
ステップ2:オームの法則で電流を求める
I = V ÷ R = 30 ÷ 30 = 1A
並列回路とは?
並列回路とは、抵抗が枝分かれして並んでいる回路のことです。
並列回路の3つのポイント
1. 合成抵抗は「逆数の足し算」
並列では電流の通り道が増えるので、合成抵抗は元のどの抵抗よりも小さくなります。
2. 電圧はどこでも同じ
すべての枝に同じ電圧がかかります。枝分かれしているけれど、出発点と合流点が同じだからです。
3. 電流は各枝に分かれる
全体の電流が各枝に分配されます。抵抗が小さい枝ほど多くの電流が流れます。
| 特徴 | 直列回路 | 並列回路 |
|---|---|---|
| 合成抵抗 | 足し算(大きくなる) | 逆数の足し算(小さくなる) |
| 電流 | どこでも同じ | 各枝に分かれる |
| 電圧 | 各抵抗に分配 | どこでも同じ |
並列回路の便利な公式(2本の場合)
抵抗が2本だけの並列のときは、「和分の積」で簡単に計算できます。
たとえば同じ値の抵抗を2本並列にすると、合成抵抗はちょうど半分になります。
並列回路の計算例
問題:30Ω と 60Ω の抵抗を並列につないで、電圧 20V をかけた。回路全体に流れる電流はいくらか?
ステップ1:合成抵抗を求める(和分の積)
R = (30 × 60) ÷ (30 + 60) = 1800 ÷ 90 = 20Ω
ステップ2:オームの法則で電流を求める
I = V ÷ R = 20 ÷ 20 = 1A
直並列混合回路の解き方
実際の試験では、直列と並列が組み合わさった回路が出題されることがあります。解き方はシンプルです。
手順:並列部分を先にまとめてから、直列として足し算する。
混合回路の計算例
問題:R₁ = 10Ω が直列に入り、その先で R₂ = 20Ω と R₃ = 20Ω が並列になっている。全体の合成抵抗はいくらか?
どんなに複雑に見えても、「並列を先にまとめる → 直列で足す」の繰り返しで解けます。
よくある計算ミス3選
試験本番で「わかっていたのに間違えた」を防ぐために、受験生がやりがちなミスを押さえておきましょう。
ミス① 並列なのに足し算してしまう
最多のミスです。「合成抵抗を求めよ」と聞かれたとき、直列なのか並列なのかを回路図から正しく判断できていないと、並列なのに足し算してしまいます。
見分け方のコツ:電流の通り道が1本なら直列、枝分かれしていれば並列。問題文に「並列に接続した」とあれば、足し算ではなく逆数の足し算(和分の積)を使います。
ミス② 単位の変換忘れ
問題で「kΩ」や「mA」が出てきたとき、そのまま計算してしまうと桁が3つずれます。
| 問題の表記 | 変換 |
|---|---|
| 2 kΩ | 2,000 Ω |
| 500 mA | 0.5 A |
計算を始める前に、全ての値をΩとAに揃える習慣をつけましょう。
ミス③ 和分の積で分母と分子を逆にする
並列2本の公式 R = (R₁×R₂)÷(R₁+R₂) で、分子が「積」・分母が「和」です。焦ると逆にしてしまう人がいます。
覚え方:「和分の積」=「和で分けた積」。つまり掛け算した結果を、足し算した結果で割る。語呂そのままの順番です。
消防設備との関わり
「こんな計算、消防設備士に必要なの?」と思うかもしれませんが、甲種4類では必須です。
自動火災報知設備(自火報)の回路は、感知器や発信機が配線でつながった電気回路です。
| 場面 | 使う知識 |
|---|---|
| 配線の電圧降下の計算 | オームの法則(V=IR) |
| 感知器回路の末端抵抗 | 直列回路の合成抵抗 |
| 複数の感知器回路 | 並列回路の合成抵抗 |
| 製図問題の回路設計 | 直並列混合回路 |
たとえば、10階建てオフィスビルの自火報を考えてみましょう。受信機から各階の感知器まで長い配線が伸びています。配線には抵抗があるので、末端の感知器には電圧降下が生じます。この降下量がオームの法則で計算できるのです。
また、各階の感知器回路には末端に10kΩの終端抵抗が入っています。受信機はこの抵抗値を監視して、配線が断線していないかチェックしています。断線すると抵抗値が無限大(∞Ω)になり、受信機が「断線」と判断する――これも直列回路の考え方そのものです。
回路計算の記事では、実際の製図問題で出る配線の電圧降下計算を詳しく解説しています。この記事の直列・並列の知識をしっかり固めてから進みましょう。
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| オームの法則 | V = I × R(変形3パターン) |
| 直列の合成抵抗 | 足し算 → 元より大きくなる |
| 並列の合成抵抗 | 逆数の足し算 → 元より小さくなる |
| 並列2本の便利公式 | (R₁×R₂) ÷ (R₁+R₂) |
| 混合回路 | 並列を先にまとめて → 直列で足す |
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- 甲種4類 電気計算の完全攻略 — 全パターンを網羅した総まとめ
- 回路計算 — 実際の製図問題で使う配線の電圧降下計算
電気計算が不安なら、テキストで体系的に学ぶのが近道です
甲種4類は電気分野の配点が高く、ここで落とすと合格が遠のきます。参考書で全体像をつかんでから問題演習に入ると効率的です。
通信講座で効率よく合格を目指すなら
SATの消防設備士講座は、電気分野の解説動画が充実しています。テキストだけでは理解しにくい回路計算も、映像で見ればスッと入ります。
理解度チェック問題
問題1. 抵抗 50Ω の回路に 0.4A の電流が流れている。回路にかかっている電圧はいくらか。
(1)12.5V
(2)20V
(3)50.4V
(4)125V
問題2. 15Ω、25Ω、10Ω の3つの抵抗を直列に接続した。合成抵抗はいくらか。
(1)5Ω
(2)30Ω
(3)50Ω
(4)150Ω
問題3. 20Ω と 30Ω の2つの抵抗を並列に接続した。合成抵抗はいくらか。
(1)10Ω
(2)12Ω
(3)25Ω
(4)50Ω
問題4. ある回路で、R₁ = 6Ω が直列に入り、その先で R₂ = 12Ω と R₃ = 12Ω が並列になっている。この回路全体に 24V の電圧をかけたとき、回路に流れる電流はいくらか。
(1)1A
(2)2A
(3)4A
(4)6A
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