解答・解説
第1科目:法令共通
問1
正解:(4)
消防法第2条第4項では「関係者」を所有者・管理者・占有者の3者と定義しています。設計者は含まれません。
設計者は建築基準法上の責任者であり、消防法上の防火管理や設備維持の義務を負う「関係者」とは異なります。
問2
正解:(3)
消防用設備等の分類:
- 消火設備:消火器、スプリンクラー、不活性ガス消火設備など
- 警報設備:自動火災報知設備、漏電火災警報器、ガス漏れ火災警報設備など
- 避難設備:誘導灯、救助袋、すべり台など
- 消火活動上必要な施設:連結送水管、排煙設備など
問3
正解:(3)
防火管理者の選任基準:
- 特定防火対象物(飲食店・ホテル・病院など)→ 収容人員30人以上
- 非特定防火対象物(事務所・工場・共同住宅など)→ 収容人員50人以上
不特定多数が出入りする特定防火対象物の方が、より少ない人数で選任義務が発生します。
問4
正解:(3)
消防設備士の業務範囲:
- 甲種消防設備士 → 工事と整備の両方ができる
- 乙種消防設備士 → 整備のみ(工事はできない)
消防法第17条の5により、消防用設備等の工事・整備は消防設備士でなければ行えません(一部軽微なものを除く)。
問5
正解:(1)
消防法第17条の14の規定:
- 甲種消防設備士が、工事に着手しようとする日の10日前までに届け出る
- 届出先は消防長又は消防署長
- 乙種消防設備士は工事ができないため、着工届の提出義務もない
(3)は設置届の説明(工事完了後4日以内に届出)と混同した誤り。
問6
正解:(4)
点検報告の頻度:
- 特定防火対象物 → 1年に1回
- 非特定防火対象物 → 3年に1回
特定防火対象物は不特定多数が利用するため、より高い頻度で報告が求められます。(4)の「特定で3年に1回」は非特定の基準と取り違えた誤りです。
第2科目:法令類別
問7
正解:(2)
自動火災報知設備の設置基準:
- 11階以上の階がある防火対象物 → 面積にかかわらず設置義務あり
- 地階・無窓階 → 床面積300㎡以上(500㎡ではない)
- 地下街 → 延べ面積300㎡以上(1,000㎡ではない)
- 特定防火対象物でも面積基準あり(病院・社会福祉施設等は面積不問)
問8
正解:(4)
感知器と空調の吹出口との距離は1.5m以上離す必要があります(1.0mでは不足)。
設置距離のまとめ:
- 熱感知器 → 壁・はりから0.4m以上
- 煙感知器 → 壁・はりから0.6m以上
- 取付面の下方 → 0.3m以内
- 空調吹出口 → 1.5m以上
問9
正解:(4)
P型2級発信機には応答確認灯も電話ジャックもありません。
- P型1級発信機 → 応答確認灯あり、電話ジャックあり
- P型2級発信機 → 応答確認灯なし、電話ジャックなし
P型2級は小規模施設向けのシンプルな構造で、押しボタンと表示灯のみの構成です。
問10
正解:(2)
非常警報設備の設置基準:
- 収容人員20人以上 → 非常警報器具(警鐘・携帯用拡声器など)
- 収容人員50人以上 → 非常警報設備(非常ベル・自動式サイレン又は放送設備)
非常ベルと自動式サイレンは「いずれか」でよく、両方設置する義務はありません。放送設備は地階に限らず設置できます。
第3科目:電気の基礎
問11
正解:(3)
直列回路では電流が同じなので:
- 合成抵抗 R = 3 + 6 = 9Ω
- 電流 I = V / R = 18 / 9 = 2A
- 6Ωにかかる電圧 = 2 × 6 = 12V
直列回路では各抵抗に流れる電流は同じで、電圧は抵抗値に比例して分配されます。
問12
正解:(2)
電力量の公式:
- 電力量 W = P × t
- W = 500W × 2h = 1,000Wh = 1kWh
電力量は「電力×時間」で求められます。単位はWh(ワット時)またはkWh(キロワット時)です。
問13
正解:(2)
変圧器の電圧比と巻数比の関係:
- V1 / V2 = N1 / N2(電圧比=巻数比)
- 1次側巻数が2次側の2倍 → 2次側電圧は1次側の半分(降圧)
変圧器は電磁誘導の原理を利用し、交流の電圧を変換します(直流は不可)。1次側と2次側は電気的に絶縁されており、磁気的に結合しています。
問14
正解:(3)
半導体素子の特徴:
- ダイオード:電流を一方向にのみ流す整流作用がある(交流→直流の変換に使用)
- トランジスタ:電流の増幅やスイッチングに使用される
- 半導体は温度が上がると抵抗値が減少する(金属は増加)
問15
正解:(2)
接地工事(アース工事)の主な目的:
- 漏電時の感電防止:漏電電流を大地に逃がし、人体への感電を防ぐ
- 漏電遮断器の確実な動作:接地により漏電電流の経路を確保し、遮断器を作動させる
避雷も接地の一つの用途ですが、「唯一の目的」ではありません。電力低減や電圧降下防止は接地の目的ではありません。
第4科目:構造・機能・整備
問16
正解:(3)
受信機の種類と機能:
- P型受信機:火災信号を共通信号方式で受信
- G型受信機:ガス漏れ信号を受信
- GP型受信機:火災+ガス漏れの両方を受信(P型+G型の複合型)
- R型受信機:火災信号を固有信号方式で受信(感知器にアドレスを割当て)
問17
正解:(2)
イオン化式スポット型の動作原理:
- 内部の放射線源(アメリシウム241)が空気をイオン化し、一定のイオン電流が流れている
- 煙が感知器内に入ると、煙粒子がイオンに付着してイオン電流が減少
- 電流の変化を検出して火災信号を発信
(1)は光電式スポット型(散乱光式)の原理です。現在は放射性物質の管理上、光電式が主流になっています。
問18
正解:(1)
差動式分布型(空気管式)の動作原理:
- 天井面に敷設された銅製の空気管(外径約2mm)が熱を受ける
- 管内の空気が膨張し、検出部のダイヤフラムを押し上げる
- 接点が閉じて火災信号を発信
空気管は天井面に敷設し、1つの検出部に接続できる空気管の長さは原則20m以上です。緩やかな温度上昇では、リーク孔から空気が逃げるため作動しません。
問19
正解:(3)
設置場所と感知器の選定:
- 厨房 → 定温式(調理による急激な温度変化があるため、差動式は非火災報の原因に)
- ボイラー室 → 定温式特種(常時高温のため煙感知器や差動式は不適)
- 廊下・通路 → 煙感知器(煙の流入を早期に検知)
- 階段 → 煙感知器(煙は上昇するため階段での煙検知が重要)
問20
正解:(3)
中継器の役割:
- 感知器・発信機からの火災信号を受信機に中継する
- 受信機からの制御信号(地区音響の鳴動など)を中継する
- R型システムで使用され、感知器のアドレス信号を受信機に伝達する
中継器自体は火災を感知する機能はなく、あくまで信号の中継を行う装置です。
問21
正解:(1)
非常警報設備の種類:
- 非常ベル
- 自動式サイレン
- 放送設備(非常放送)
音圧は1mで90dB以上(70dBでは不足)。放送設備を設置すれば、非常ベル等の併設は不要です。起動装置は各階に設置します。
問22
正解:(1)
蓄積式受信機の特徴:
- 感知器からの信号を5秒〜60秒間蓄積し、一時的なノイズによる非火災報を低減
- 蓄積時間中に信号が継続した場合 → 火災と判断して警報を発する
- 蓄積機能は手動で解除可能(即時警報モードに切替可能)
- 発信機からの信号は蓄積されない(人が操作した信号は即座に警報)
問23
正解:(2)
差動式スポット型感知器の感知面積(取付面高さ4m未満):
| 種別 | 耐火構造 | その他 |
|---|---|---|
| 1種 | 90㎡ | 50㎡ |
| 2種 | 70㎡ | 40㎡ |
取付面が高くなるほど感知面積は小さくなります(感知器の数が多く必要になる)。
問24
正解:(2)
ガス漏れ検知器の種類:
- 半導体式:ガスが半導体表面に吸着すると抵抗値が減少(増加ではない)して検知
- 接触燃焼式:ガスが白金触媒上で燃焼→温度上昇→抵抗値変化で検知
検知器は都市ガス用とLPガス用に分かれており、汎用型ではありません。設置位置も異なります(都市ガス=天井面付近、LPガス=床面付近)。
問25
正解:(3)
自動火災報知設備の電源:
- 常用電源は、受電設備から専用回路で供給する(他の設備と共用しない)
- 開閉器には「自動火災報知設備用」等の表示をする
- 電圧は交流100Vまたは200V(200V限定ではない)
専用回路とすることで、他の機器のブレーカー遮断等による自火報の停止を防ぎます。
問26
正解:(1)
絶縁抵抗の基準値:
| 電路の使用電圧 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|
| 対地電圧150V以下 | 0.1MΩ以上 |
| 対地電圧150V超 300V以下 | 0.2MΩ以上 |
| 300V超 | 0.4MΩ以上 |
自火報の信号回路は通常24Vなので、対地電圧150V以下に該当し、0.1MΩ以上が必要です。
問27
正解:(1)
漏電火災警報器の構成と動作:
- 零相変流器(ZCT):電路の漏洩電流(零相電流)を検出するセンサー
- 受信機:変流器からの信号を受けて警報を発する
漏電火災警報器は漏電による火災の防止が目的(感電防止ではない)。ラスモルタル造など、漏電により火災が発生するおそれのある建物に設置義務があります。
問28
正解:(2)
複合型感知器の特徴:
- 2種類以上の火災現象(熱と煙など)を感知する機能を持つ
- いずれか一方を感知したときに作動する(OR型)
- 補償式スポット型は「差動式+定温式」の複合だが、どちらも熱感知なので「複合型」には分類されない
- 熱感知と煙感知それぞれ別の信号を出力できる
問29
正解:(2)
P型受信機の火災表示:
- 火災信号を受信すると火災灯(赤色)が点灯し、地区表示装置に警戒区域が表示される
- P型は共通信号方式なので、警戒区域単位の表示(個別の感知器番号は表示されない → それはR型)
- 火災表示は手動で復旧操作を行うまで保持される(自動復旧しない)
- 火災灯は赤色(黄色ではない)
問30
正解:(3)
感知器は半永久的に使用できるものではありません。
- 感知器には経年劣化があり、一般的に設置後10〜15年程度で交換が推奨される
- 定期点検で作動不良が発見された場合は速やかに交換する
- 特にイオン化式は放射性物質を含むため、適切な管理と交換が必要
実技:鑑別
問31
解答:
- ア:火災灯(火災発生時に赤色に点灯する表示灯)
- イ:地区表示装置(火災が発生した警戒区域を表示する窓・ランプ)
- ウ:音響停止スイッチ(主音響装置の鳴動を停止するスイッチ)
問32
解答:
- ア:空気管(銅製の細管で、天井面に敷設して熱を感知する)
- イ:検出部(ダイヤフラムと接点を内蔵し、空気の膨張を検出する)
- ウ:試験孔(テストポート)(作動試験時に試験ポンプを接続する箇所)
問33
解答:
- ア:光電式スポット型感知器(煙感知器)
- 設置場所の例:廊下・通路・階段・居室など
- イ:定温式スポット型感知器(熱感知器)
- 設置場所の例:厨房・ボイラー室など(常時煙や急激な温度変化がある場所)
煙感知器は煙による早期検知に優れ、定温式は一定温度に達した時に作動するため高温環境に適しています。
問34
解答:
- ア:加熱試験器
- 用途:熱感知器(差動式・定温式・補償式)の作動試験に使用
- イ:加煙試験器
- 用途:煙感知器(光電式スポット型・イオン化式スポット型)の作動試験に使用
いずれも長い棒(伸縮ポール)の先端に取り付けて、天井面の感知器に対して試験を行います。
問35
解答(復旧操作の手順):
- 主音響装置停止スイッチを操作して、受信機のベル音を停止する
- 地区音響装置停止スイッチを操作して、各階の音響装置を停止する
- 火災の原因を排除し、感知器を復旧させる(煙の排出・温度の低下等)
- 受信機の復旧スイッチを操作して、火災表示を復旧する
- 各スイッチを通常の監視状態に戻す
復旧操作では、まず音を止めてから表示を復旧する順序が重要です。復旧スイッチを先に押しても、感知器が復旧していなければ再度火災信号を受信してしまいます。