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泡消火設備の泡放出口と起動方式|フォームヘッド・高発泡・移動式

泡消火設備は、水源、加圧送水装置、泡消火薬剤貯蔵槽、混合装置、配管、起動装置、泡放出口などで構成されます。水と薬剤を混合して泡水溶液を作り、泡放出口やノズルで空気などを取り込んで泡を放出します。

この記事では、防火対象物に設ける泡消火設備について、消防法施行規則第18条を軸に、泡ヘッド、高発泡用泡放出口、起動方式、固定式と移動式の違いを整理します。

この記事の範囲
消防法施行令第13条・第15条、消防法施行規則第18条が対象とする防火対象物の設備を扱います。危険物施設の屋外タンクなどは別の法体系・技術基準によるため、液面上注入・液面下注入などのタンク設備を同じ表へ混在させません。

泡消火設備の基本構成

設備ごとに構成や配置は異なりますが、主な機器の役割は次のとおりです。

機器 主な役割
水源 泡水溶液のもとになる水を確保する
加圧送水装置 必要な流量・圧力で水または泡水溶液を送る
泡消火薬剤貯蔵槽 設計に必要な量の泡消火薬剤を貯蔵する
泡消火薬剤混合装置 水と薬剤を設計濃度で混合して泡水溶液を作る
配管・弁類 泡水溶液を放射区域やホース接続口へ送る
泡放出口・泡ノズル 泡水溶液に空気などを混入し、所定の泡を放出する
起動・警報・非常電源 設備を起動し、作動を知らせ、停電時の電源を確保する

水、薬剤、泡水溶液、泡の違いと薬剤の法定3種は「泡消火薬剤の3種類と性能基準」で確認できます。

固定式と移動式は操作方法だけで決まらない

固定式

固定式は、泡放出口を防護対象に対応する位置へ設け、配管で泡水溶液を送る方式です。低発泡には泡ヘッド、高発泡には高発泡用泡放出口を用います。

消防法施行規則第18条第4項は、火災時に著しく煙が充満するおそれのある場所に設けるものを固定式としています。道路の用に供される部分も、屋上部分の例外を除き固定式です。

移動式

移動式は、格納箱からホースとノズルを取り出し、ホース接続口の弁を操作して人が泡を放射する方式です。使用する泡消火薬剤は低発泡に限られます

固定式と移動式は、設備費や消火速度の単純な優劣で選ぶものではありません。煙の滞留、設置場所、ホースの到達範囲、操作できる環境などを法令と設計条件に照らして判断します。

膨張比で泡放出口が変わる

消防法施行規則第18条の区分は次のとおりです。ここでいう膨張比は、発生した泡の体積を、その泡を作るために使った泡水溶液の体積で割った値です。

泡の区分 膨張比 泡放出口
低発泡 20以下 泡ヘッド
高発泡 80以上1,000未満 高発泡用泡放出口

20を超え80未満を、同条の低発泡または高発泡の区分へ含めることはできません。高発泡用泡放出口には、膨張比により第1種から第3種までの区分があります。

泡ヘッドは設置対象で使い分ける

低発泡に用いる泡ヘッドには、フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドフォームヘッドがあります。消防法施行規則第18条は、主に設置する防火対象物・部分で使い分けています。

泡ヘッド 設ける主な対象 配置基準
フォーム・ウォーター・
スプリンクラーヘッド
航空機格納庫、屋上の回転翼航空機・垂直離着陸航空機の発着部分 床面積8㎡につき1個以上
フォームヘッド 道路、自動車の修理・整備部分、駐車部分 床面積9㎡につき1個以上
いずれか 指定可燃物を貯蔵・取り扱う防火対象物またはその部分 選定したヘッドの基準による

どちらも、防護対象物のすべての表面がヘッドの有効防護空間に含まれるよう、天井または小屋裏へ設けます。フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドの標準放射量は、消防法施行規則第32条で毎分75Lとされています。

2026年3月6日の改正では、駐車部分に設ける泡消火設備のうち、消防庁長官が定める初期抑制性能を持つものについて、告示で定める放射量を用いる特例が追加されました。これは性能に応じた放射量の特例であり、ヘッド名称だけから起動方式を決める規定ではありません。

「名称=開放方式」と決めつけない
現行条文は、フォームヘッドとフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドを設置対象・配置基準で分けています。「フォームヘッドは必ず開放型」「フォーム・ウォーターは必ず感熱体付き閉鎖型で、最初に水、その後に泡を放射する」とは規定していません。起動・配管の実際は、型式と設計図書で確認します。

高発泡用泡放出口は全域放出と局所放出がある

全域放出方式

全域放出方式は、防護区画に高発泡を放出する方式です。開口部には、原則として泡水溶液の放出直前に閉鎖する自動閉鎖装置を設けます。ただし、外部へ漏れる量以上の泡水溶液を有効に追加放出できる設備には例外があります。

  • 一つの防護区画の床面積500㎡ごとに、泡放出口を1個以上設ける
  • 原則として、防護対象物の最高位より上部に泡放出口を設ける
  • 防護対象物のうち床面からの高さが5mを超える場所は全域放出方式とする

局所放出方式

局所放出方式は、防護対象物と、その周囲の防護面積に対して高発泡を放出する方式です。隣接する防護対象物へ延焼するおそれがある場合は、その範囲を一つの防護対象物として扱います。

高発泡用泡放出口を用いる設備には、泡の放出を停止するための装置が必要です。消防庁の点検要領では、防護区画や開口部の自動閉鎖装置に加え、発泡方式に応じた非常停止機能を確認します。

起動方式は一つではない

自動式の起動装置は、次のいずれかの作動・開放と連動して、加圧送水装置、一斉開放弁、泡消火薬剤混合装置を起動できるものとします。

  • 自動火災報知設備の感知器
  • 閉鎖型スプリンクラーヘッド
  • 火災感知用ヘッド

防災センター等から火災時に直ちに手動起動できるなど、条文の条件を満たす場合には例外があります。手動式では、直接操作または遠隔操作により、加圧送水装置、手動式開放弁、混合装置を起動します。放射区域が二つ以上ある設備は、放射区域を選択できる構造が必要です。

このため、「フォームヘッドなら必ず感知器から一斉開放」「フォーム・ウォーターなら必ずヘッド自身が感熱開放」という一組の動作だけで全設備を説明することはできません。

移動式泡消火設備の構成と表示

移動式の泡放射用器具まわりは、次のような構成です。

  • 格納箱:表面に「移動式泡消火設備」と表示する
  • 赤色の灯火:格納箱の上部に設ける
  • 消防用ホース・泡ノズル:格納箱から取り出して使用する
  • ホース接続口・開閉弁:ホースを接続し、泡水溶液を送る
  • 起動装置:加圧送水装置や混合装置などを起動する

消防法施行令第15条では、ホース接続口の水平距離、ホースの到達範囲、ノズルを同時使用する場合の能力なども定めています。人が操作する設備なので、周囲に障害がなく、扉・弁・接続部を容易に操作できることが重要です。

点検では放出口だけでなく周囲も見る

消防庁の点検要領は、機器そのものだけでなく、設備変更後も有効に泡を放出できるかを確認対象にしています。

  • 泡放出口:変形、損傷、著しい腐食、つまりがないか
  • 放出障害:泡の分布や流動を妨げるものがないか
  • 未警戒部分:間仕切り、たれ壁、ダクト、棚の変更でヘッドのない部分が生じていないか
  • 起動装置・一斉開放弁:設計どおり作動するか
  • 高発泡:防護区画、開口部の自動閉鎖装置、非常停止装置が機能するか
  • 移動式:格納箱、ホース、ノズル、接続口、開閉弁、表示灯が使用できる状態か

総合点検では、対象設備の放射圧力、発泡倍率、混合率などが設計図書に基づく範囲内か確認します。

危険物タンクの泡設備とは法体系を分ける

屋外タンク貯蔵所などの泡消火設備には、固定泡放出口、液面上注入、液面下注入など、防火対象物向けの消防法施行規則第18条とは別の基準があります。

そのため、駐車場のフォームヘッド、高発泡用泡放出口、危険物タンクの固定泡放出口を「固定式の4方式」のように一つの分類表へ並べると、適用法令と設計条件が混在します。実務では施設の区分を先に確定し、該当する法令・告示・設計図書を確認します。

オリジナル理解度チェック

問題1

消防法施行規則第18条で、膨張比20以下の低発泡に用いる泡放出口はどれですか。

(1)泡ヘッド (2)高発泡用泡放出口 (3)移動式の赤色灯

解答を見る

正解:(1)

低発泡には泡ヘッド、高発泡には高発泡用泡放出口を用います。

問題2

駐車の用に供される部分へ設ける泡ヘッドとして、同条が示しているものはどれですか。

(1)フォームヘッド (2)フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドだけ (3)高発泡用泡放出口だけ

解答を見る

正解:(1)

道路、自動車の修理・整備部分、駐車部分にはフォームヘッドを設ける規定です。

問題3

自動式起動装置の連動元として条文に挙げられていないものはどれですか。

(1)自動火災報知設備の感知器 (2)閉鎖型スプリンクラーヘッド (3)薬剤貯蔵槽の製造年月表示

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正解:(3)

条文は、感知器、閉鎖型スプリンクラーヘッド、火災感知用ヘッドの作動・開放との連動を挙げています。

問題4

移動式泡消火設備について正しいものはどれですか。

(1)高発泡だけを使う (2)低発泡を使い、格納箱へ表示と赤色灯を設ける (3)人は操作しない

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正解:(2)

移動式に用いる薬剤は低発泡に限られます。格納箱の表面表示と上部の赤色灯も必要です。

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参考資料

法令・告示は改正されます。実務では最新の条文、設備の型式、設計図書、所轄消防機関の運用を確認してください。

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