甲種2類

泡消火設備の構造と機能|フォームヘッド・固定泡放出口・高発泡・移動式をわかりやすく解説

結論から言います。

泡消火設備には固定式移動式があり、固定式はさらに放出方法によって複数の方式に分かれます。「泡消火設備の全体像と消火原理」で全体像を、「泡消火薬剤の種類と性質」で薬剤と混合装置を学びました。この記事では、泡を実際に放出する側の機器と設備構成を詳しく解説します。

試験では「この方式はどの場所に使うか」「フォームヘッドとフォームウォータースプリンクラーヘッドの違いは何か」といった問題が頻出です。

泡消火設備の分類
固定式
① フォームヘッド方式
② フォームウォータースプリンクラー方式
③ 固定泡放出口方式
④ 高発泡方式(全域放出・局所放出)
移動式
泡消火栓(ノズル+ホース)
人が操作して泡を放射

フォームヘッド方式

フォームヘッドとは

フォームヘッドは、天井に設置して泡を下向きに散布するヘッドです。見た目はスプリンクラーヘッドに似ていますが、泡水溶液に空気を混ぜて泡を作る機能を持っています。

開放型のヘッドで、感熱体(ヒュージブルリンク)はありません。火災感知は別の感知器(自火報など)が行い、感知信号を受けて一斉開放弁が開くことで泡水溶液がヘッドに送られます。

甲1のスプリンクラーとの違い
SPヘッド(閉鎖型)→ ヘッド自身が熱で開放 → 水を散布
フォームヘッド(開放型)→ 一斉開放弁で制御 → 泡を散布

フォームヘッドは開放型なので、感知と放出が分離されています。「スプリンクラー設備の全体像と方式」で学んだ開放型スプリンクラーと同じ考え方です。

動作の流れ

フォームヘッド方式の動作フロー
1
火災発生 → 感知器が検知 → 受信機に信号
2
一斉開放弁が開放 → 泡水溶液が配管に流入
3
ポンプ起動 → 水源から水をくみ上げ → 混合装置で薬剤と混合
4
フォームヘッドから泡放出 → 該当区域のヘッドから一斉に泡が散布

設置場所

フォームヘッド方式は主に駐車場に設置されます。天井からの散布で床面の油火災を覆う使い方です。

フォームウォータースプリンクラー方式

フォームウォータースプリンクラーヘッドとは

フォームウォータースプリンクラーヘッドは、閉鎖型のヘッドです。通常のスプリンクラーヘッドと同じように感熱体(ヒュージブルリンクやグラスバルブ)を持ち、火災の熱でヘッド自身が開放します。

フォームヘッドとの最大の違いは「ヘッドが自分で開く」という点です。

項目 フォームヘッド フォームウォーターSPヘッド
ヘッドの型 開放型 閉鎖型
開放方法 一斉開放弁で制御 感熱体で自動開放
配管内の状態 空(乾式) 充水(湿式)
放出範囲 区域内の全ヘッド 開放したヘッドのみ

動作の流れ

フォームウォータースプリンクラー方式は、湿式スプリンクラーと同じ動作原理です。

  1. 配管内は常時加圧水で充水
  2. 火災の熱でヘッドの感熱体が作動 → ヘッドが開放
  3. 配管内の水がまず放水される
  4. 流水検知装置が作動 → ポンプ起動 → 混合装置で薬剤と混合
  5. 泡水溶液がヘッドに到達 → 水から泡に切り替わる

最初は水が出て、しばらくすると泡に変わるのが特徴です。

設置場所

フォームウォータースプリンクラー方式も主に駐車場に設置されます。フォームヘッド方式との使い分けは設計や設置環境によります。

固定泡放出口方式

固定泡放出口とは

固定泡放出口は、屋外の石油タンクの上部に設置される泡放出装置です。タンクの縁に固定された放出口から泡をタンク内部に注入して、油面を覆います。

固定泡放出口方式の構成
1
泡消火薬剤貯蔵槽+混合装置 ── タンクから離れた安全な場所に設置
2
送液配管 ── タンクまで泡水溶液を送る
3
固定泡放出口 ── タンク上部から泡を油面に注入(液面上注入方式)

液面上注入方式と液面下注入方式

固定泡放出口方式には2つの注入方法があります。

方式 泡の注入位置 使用薬剤
液面上注入方式 タンク上部から油面の上に泡を注入 全種類OK
液面下注入方式 タンク底部から泡を注入し、油中を浮き上がらせる フッ素たん白泡
水成膜泡のみ

液面下注入方式は、泡が油の中を通過するため高い耐油性が求められます。「泡消火薬剤の種類と性質」で解説したとおり、フッ素たん白泡と水成膜泡(AFFF)だけが対応可能です。

高発泡方式

高発泡方式とは

高発泡方式は、膨張比80以上の大量の泡を発生させて、空間全体を泡で埋めて消火する方式です。合成界面活性剤泡消火薬剤を使用します。

高発泡方式には全域放出方式局所放出方式の2種類があります。

方式 内容 設置場所
全域放出方式 防護区画全体を泡で埋める 航空機格納庫
船倉・倉庫
局所放出方式 火災箇所の周囲だけを泡で覆う 工場の特定設備周辺

高膨張泡発生装置

高発泡の泡を大量に作るための専用装置が高膨張泡発生装置です。

泡水溶液を金属のメッシュ(網)に吹きかけながら、背面からファン(送風機)で大量の空気を送り込みます。メッシュの表面に薄い膜が無数にでき、空気を含んだ軽い泡が大量に発生します。

イメージで覚える
子どものおもちゃの「バブルマシン」を巨大にした装置です。石けん水をファンで吹いて大量の泡を作る ── 原理は同じです。ただし業務用なので、一気に空間を埋め尽くすほどの泡を発生させます。

全域放出方式の注意点

全域放出方式では空間全体を泡で埋めるため、人が泡に埋もれる危険があります。そのため:

  • 放出前に警報を鳴らして退避を促す
  • 遅延装置を設けて、人が避難する時間を確保する
  • 泡の中では視界がゼロになるため、避難誘導灯の設置が重要

移動式泡消火設備

移動式とは

移動式泡消火設備は、泡消火栓の箱からホースとノズルを取り出して、人が操作して泡を放射する方式です。屋内消火栓設備の「泡バージョン」とイメージしてください。

構成

  • 泡消火栓箱 ── ホース・ノズル・開閉弁が収納
  • 泡ノズル ── 泡水溶液に空気を混ぜて泡を作り放射する
  • ホース ── 泡水溶液を送る
  • 加圧送水装置+混合装置 ── 固定式と同じ(ポンプ室に設置)

固定式との使い分け

項目 固定式 移動式
操作 自動または手動起動 人が操作
対応速度 速い(自動起動の場合) 操作者の技量に依存
設備コスト 高い(ヘッド・配管が全域に必要) 比較的低い
主な設置場所 駐車場・タンク・格納庫 工場・倉庫の補助

泡放出口の種類まとめ

各方式で使う泡放出口を整理します。鑑別試験で「この機器の名称は?」と聞かれるポイントです。

泡放出口 発泡 方式
フォームヘッド 開放型 低発泡 フォームヘッド方式
フォームウォーター
SPヘッド
閉鎖型 低発泡 フォームウォーターSP方式
固定泡放出口 固定設置 低発泡 固定泡放出口方式
高膨張泡
発生装置
固定設置 高発泡 高発泡方式
泡ノズル 手持ち 低発泡 移動式

まとめ問題

記事の内容を理解できたか、4問のクイズで確認しましょう。

【問題1】フォームヘッドとフォームウォータースプリンクラーヘッドの違いについて、正しいものはどれか。

(1)フォームヘッドは閉鎖型、フォームウォータースプリンクラーヘッドは開放型である
(2)フォームヘッドは感熱体で開放し、フォームウォータースプリンクラーヘッドは一斉開放弁で制御する
(3)フォームヘッドは開放型で一斉開放弁で制御し、フォームウォータースプリンクラーヘッドは閉鎖型で感熱体で開放する
(4)両方とも閉鎖型で、感熱体の種類だけが異なる

解答を見る

正解:(3)
フォームヘッドは開放型で、一斉開放弁の開放により区域内の全ヘッドから一斉に泡を放出します。フォームウォータースプリンクラーヘッドは閉鎖型で、感熱体が熱で作動してヘッド自身が開放します。(1)(2)は逆、(4)は両方閉鎖型という誤りです。

【問題2】高発泡方式の全域放出方式について、誤っているものはどれか。

(1)合成界面活性剤泡消火薬剤を使用する
(2)防護区画全体を泡で埋めて消火する
(3)放出前に警報を鳴らして避難を促す必要がある
(4)たん白泡消火薬剤でも使用できる

解答を見る

正解:(4)
高発泡方式に使用できるのは合成界面活性剤泡のみです。たん白泡・フッ素たん白泡・水成膜泡は低発泡でしか使えないため、高発泡方式には対応しません。(1)(2)(3)はすべて正しい記述です。

【問題3】固定泡放出口方式について、液面下注入方式に使用できない泡消火薬剤はどれか。

(1)水成膜泡
(2)フッ素たん白泡
(3)たん白泡
(4)水成膜泡とフッ素たん白泡の両方

解答を見る

正解:(3)
液面下注入方式は泡がタンク底部から油の中を浮き上がるため、油に触れても壊れない高い耐油性が必要です。対応できるのはフッ素たん白泡と水成膜泡の2種類で、通常のたん白泡は液面下注入方式には使用できません。たん白泡は耐油性自体は高いですが、油中を通過する耐久性はフッ素系には及びません。

【問題4】移動式泡消火設備について、正しいものはどれか。

(1)ヘッドが天井に固定されており、ホースで接続する方式である
(2)泡消火栓箱からホースとノズルを取り出し、人が操作して泡を放射する
(3)固定式に比べて設備コストは高いが、消火速度は速い
(4)高発泡の泡を使用するため、広い空間の消火に適している

解答を見る

正解:(2)
移動式泡消火設備は、泡消火栓箱に収納されたホースとノズルを取り出して人が操作して泡を放射する方式です。屋内消火栓設備の「泡バージョン」です。(1)は固定式の説明。(3)は逆で、移動式の方がコストは低く、消火速度は操作者に依存します。(4)も誤りで、移動式は低発泡です。

-甲種2類