乙種6類

消火器の安全装置・部品の名称と役割|蓄圧式・加圧式の違いを徹底解説

結論から言います

消火器の部品は多く見えますが、役割で分けると3グループしかありません。

  • 操作部品 — レバー・ホース・ノズルなど「使う人が触る」部品
  • 内部構造 — サイホン管・バルブ・本体容器など「薬剤を送り出す」部品
  • 安全装置 — 安全栓・減圧孔・安全弁など「事故を防ぐ」部品

試験では安全装置まわりの出題が特に多いです。「蓄圧式にあって加圧式にない部品は?」「安全栓の役割は?」など、部品の名前と役割をセットで問われます。

この記事では、消火器の部品をすべての消火器に共通する部品方式別の専用部品に整理して解説します。個別の消火器ごとの詳しい構造は、粉末消火器強化液消火器機械泡消火器二酸化炭素・ハロゲン化物消火器の各記事も参考にしてください。

 

全消火器に共通する部品

まずは、蓄圧式でも加圧式でも、薬剤の種類に関係なくほぼすべての消火器に付いている部品を押さえましょう。

全消火器共通の部品
操作部
安全栓(黄色いピン)
レバー(上・下)
ホース
ノズル
容器・内部
本体容器(鋼板製)
キャップ(ねじ蓋)
バルブ(開閉弁)
サイホン管
パッキン(Oリング)

 

本体容器

消火薬剤とガスを収める鋼板製の容器です。高い内圧に耐える設計で、容器の外面には耐食塗装(一般的に赤色)が施されています。

容器には製造年耐圧試験圧力設計標準使用期限などが表示されています。この表示は点検時に確認する重要なポイントです。

 

キャップ(ねじ蓋)

本体容器とバルブ本体を接続するねじ込み式の蓋です。整備・薬剤充てん時にはこのキャップを外して内部にアクセスします。

キャップ部分にはパッキン(Oリング)が入っており、気密を保っています。パッキンが劣化するとガス漏れの原因になります。

 

バルブ(開閉弁)

レバー操作で開閉し、薬剤の放出を制御する弁です。蓄圧式ではレバーを離すとバルブが閉じるため、放射を途中で止められます。加圧式は一度開くと止められない構造のものもあります。

 

レバー(上レバー・下レバー)

消火器の操作ハンドルです。上レバーと下レバーがあり、安全栓を抜いた後に上レバーを握り込むことでバルブが開きます。

下レバーは消火器を持ち運ぶときのグリップとしても使います。

 

サイホン管

容器の内部で底近くまで伸びている管です。加圧されたガスが薬剤を押し出し、薬剤はこの管を通ってバルブ→ホースへと流れます。

底まで届いていないと薬剤を最後まで放射できないため、管の長さと位置は重要です。

 

ホースとノズル

薬剤をバルブから火元へ導く管と放射口です。ノズルの形状は消火器の種類によって異なります。

消火器 ノズル形状 理由
粉末消火器 ラッパ型(広がる) 粉末を広範囲に散布
強化液(棒状) 直射ノズル 水をまっすぐ飛ばす
強化液(霧状) 霧状ノズル 細かい霧に変換
機械泡 発泡ノズル 空気を混ぜて泡を作る
CO₂ ホーン(ラッパ型) ガスを拡散放射

試験のポイント

機械泡消火器のノズルは「発泡ノズル」という特殊な構造です。薬剤がノズルを通る際に空気を巻き込み、泡を作り出します。ほかの消火器とはノズルの役割が違う――これは試験で狙われやすいポイントです。

 

安全装置

安全装置は「誤操作」と「圧力異常」の2つのリスクを防ぐために付いています。試験ではこの区別を理解しているかが問われます。

安全装置の2つの役割
誤操作を防ぐ
安全栓(黄色いピン)
→ レバー操作をロック

安全栓の封印シール
→ 使用済みかどうかを判別

圧力異常を防ぐ
減圧孔(蓄圧式)
→ キャップ開放時の残圧逃がし

安全弁・放圧栓
→ 異常圧力で自動的にガス放出

 

安全栓(あんぜんせん)

レバーに差し込まれた黄色いリング付きのピンです。この栓が入っている間はレバーを握れないため、運搬中や保管中の誤放射を防ぎます。

使用時に最初に行う操作が「安全栓を引き抜く」こと。消火器の操作手順の第一歩です。

安全栓には封印シール(緑色のプラスチック製の封)が付いています。これは「まだ一度も使われていない」ことを証明するもので、シールが切れていたら使用済みまたはいたずらの可能性があります。点検時の重要な確認項目です。

 

減圧孔(げんあつこう)

蓄圧式消火器のキャップ部分に設けられた小さな穴です。

蓄圧式消火器は常に容器内に圧力がかかっています。整備のためにキャップを外すとき、いきなり外すと残圧でキャップが飛ぶ危険があります。

減圧孔があるおかげで、キャップを数回転ゆるめた時点で残圧が穴から少しずつ抜けます。シューっという音がしなくなるまで待ってからキャップを完全に外す――これが安全な作業手順です。

注意

減圧孔は蓄圧式だけにある構造です。加圧式は使用前に容器内に圧力がかかっていないため、減圧孔は必要ありません。この違いは試験でよく問われます。

 

安全弁(あんぜんべん)・放圧栓(ほうあつせん)

容器内の圧力が異常に上昇したときに自動的にガスを逃がす装置です。

たとえば消火器が火災現場の高温にさらされた場合、容器内のガスが膨張して内圧が急上昇します。放置すると容器が破裂する危険がある。このとき安全弁が作動してガスを放出し、容器の破裂を防ぎます。

安全弁は蓄圧式消火器に多く、加圧用ガス容器に取り付けるものは加圧式にもあります。

 

蓄圧式の専用部品

蓄圧式消火器にだけ付いている部品を確認しましょう。

蓄圧式の専用部品
指示圧力計
容器内の圧力を常時表示するゲージ

緑色の範囲 → 正常(使用可能)
緑より左(低い) → 圧力不足(ガス漏れ)
緑より右(高い) → 圧力過大(異常)

点検時は目視だけで圧力状態がわかる
→ これが蓄圧式の大きなメリット

減圧孔
キャップ部分の小さな穴

整備でキャップを外す際に
残圧を安全に逃がす

加圧式は使用前に圧力がないため
減圧孔は不要

指示圧力計は蓄圧式消火器を象徴する部品です。常時加圧されているからこそ圧力を監視する必要がある。逆に、加圧式は使用前に圧力がかかっていないため、圧力計は付いていません。

試験のポイント

指示圧力計があるか・ないか」は、蓄圧式と加圧式を見分ける最もわかりやすい目印です。点検の現場でも、消火器を見てまず指示圧力計の有無を確認すれば加圧方式がすぐにわかります。

 

加圧式の専用部品

加圧式消火器にだけある部品は2つあります。

加圧式の専用部品
加圧用ガス容器(ボンベ)
CO₂(二酸化炭素)が封入された
小型のボンベ

容器本体の内部に収められている

使用時にレバー操作で破封(はふう)され
一気にガスが放出される

カッター(破封針)
加圧用ガス容器の封板を
突き破る針状の部品

レバーを握ると押し込まれ
封板に穴を開ける

一度破封すると元に戻せない

加圧式の動作原理は、レバーを握る → カッターが加圧用ガス容器の封板を破る → CO₂ガスが本体容器内に一気に充満 → ガス圧で薬剤が押し出される、という流れです。

この「一度破封すると止められない」特性があるため、加圧式は蓄圧式のように放射の途中停止がしにくい構造です。

 

蓄圧式と加圧式の部品比較

ここまでの内容を表にまとめます。

部品 蓄圧式 加圧式
安全栓 あり あり
レバー あり あり
ホース・ノズル あり あり
サイホン管 あり あり
バルブ あり あり
パッキン あり あり
指示圧力計 あり なし
減圧孔 あり なし
加圧用ガス容器 なし あり
カッター なし あり

共通する部品が多いですが、太字の4つが蓄圧式・加圧式を区別するカギです。

覚え方のコツ:蓄圧式は「常に圧力がかかっている」→ だから圧力を監視する部品(指示圧力計)と圧力を逃がす部品(減圧孔)が必要。加圧式は「使うときにガスを出す」→ だからガスを溜めておく部品(ガス容器)とガスを出す部品(カッター)が必要。

 

二酸化炭素消火器の特殊部品

二酸化炭素(CO₂)消火器は高圧ガス消火器なので、ほかの消火器にはない特殊な部品があります。

  • ホーン(放射ホーン) — ラッパ状の放射口。ノズルの代わりにホーンが付いています。CO₂ガスは放射時に急激に膨張してマイナス79℃まで冷えるため、直接触れると凍傷になります。ホーンの根元を持ち、手が放射口に触れないよう注意が必要です。
  • 安全弁 — 高圧ガスのため、温度上昇による破裂を防ぐ安全弁が特に重要です。
  • サイホン管 — 液化CO₂を吸い上げるため、ほかの消火器と同様に底付近まで伸びています。

なお、CO₂消火器には指示圧力計が付いていません。蓄圧式ですが、内部のCO₂は液体と気体が共存しているため、温度によって圧力が変化し、圧力計では残量を正確に判断できないからです。重量で残量を確認します。

 

パッキンの重要性

パッキン(Oリング・ガスケットなど)は地味ですが、消火器の性能維持に欠かせない部品です。

  • 場所:キャップとバルブの接続部、ホースの接続部など
  • 材質:ゴム製が一般的
  • 役割:容器の気密を保ち、ガス漏れを防ぐ

パッキンは経年劣化します。ゴムが硬化してひび割れると、そこからガスが漏れて蓄圧式消火器の指示圧力計の針が緑色の範囲を下回ることがあります。

点検でパッキンの劣化が見つかったら交換が必要です。整備の基本中の基本ですが、試験でも「パッキンの劣化が原因で起こる不具合は何か?」といった形で問われます。

 

なぜ安全装置がこんなに必要なのか?

消火器は高圧ガスを内蔵した圧力容器です。もし安全装置がなかったら――

  • 運搬中にぶつけただけで薬剤が噴射(安全栓がない場合)
  • 整備でキャップを外した瞬間に残圧でキャップが吹き飛ぶ(減圧孔がない場合)
  • 火災現場の高温で容器内圧が限界を超えて破裂する(安全弁がない場合)

消火器は「消火するための道具」であると同時に「高圧容器」でもあります。特に古い消火器(加圧式で製造から年数が経ったもの)は、容器の腐食と内圧の組み合わせで破裂事故が実際に起きています。

安全装置は人命を守るための最後の砦――だから試験でも重点的に出題されるのです。

 

まとめ問題

記事の内容が理解できたか、チェックしてみましょう!

 

【問題1】
蓄圧式消火器にあって、加圧式消火器にはない部品の組み合わせとして、正しいものはどれか。

(1)安全栓と指示圧力計
(2)指示圧力計と減圧孔
(3)サイホン管と減圧孔
(4)加圧用ガス容器と指示圧力計

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正解:(2)指示圧力計と減圧孔
指示圧力計は常時加圧されている蓄圧式でのみ必要な圧力監視部品、減圧孔は整備時に残圧を逃がすための蓄圧式専用の構造です。(1)安全栓は両方式に共通。(3)サイホン管も共通部品。(4)加圧用ガス容器は加圧式の部品なので組み合わせが逆です。

 

【問題2】
消火器の安全栓に関する記述として、誤っているものはどれか。

(1)安全栓は運搬中の誤放射を防ぐための装置である
(2)安全栓には使用済みかどうかを判別する封印シールが付いている
(3)安全栓を抜くと容器内のガスが放出される
(4)安全栓は消火器を使用するとき最初に引き抜く

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正解:(3)安全栓を抜くと容器内のガスが放出される ← これが誤り
安全栓はレバーの動きをロックしているだけです。安全栓を抜いても、レバーを握らない限りバルブは開かず、ガスは放出されません。安全栓を抜く=すぐに放射、ではない点を押さえましょう。

 

【問題3】
蓄圧式消火器の指示圧力計について、正しいものはどれか。

(1)指示圧力計の針が緑色の範囲より右にあるときは、圧力が不足している
(2)指示圧力計は加圧式消火器にも付いている
(3)指示圧力計の針が緑色の範囲にあれば、圧力は正常である
(4)二酸化炭素消火器には必ず指示圧力計が付いている

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正解:(3)指示圧力計の針が緑色の範囲にあれば、圧力は正常である
(1)緑色の範囲より右は圧力「過大」(不足は左)。(2)加圧式は使用前に圧力がないため指示圧力計は付いていません。(4)CO₂消火器は液化ガスのため温度で圧力が変わり、圧力計では残量がわかりません。重量で確認します。

 

【問題4(応用)】
点検中の消防設備士が、ある消火器を見て「指示圧力計が付いていない。加圧用ガス容器も見当たらない」と報告した。この消火器として考えられるものはどれか。

(1)蓄圧式粉末消火器
(2)加圧式粉末消火器
(3)二酸化炭素消火器
(4)蓄圧式強化液消火器

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正解:(3)二酸化炭素消火器
蓄圧式なら指示圧力計があるはず(1・4は不適)。加圧式なら加圧用ガス容器があるはず(2は不適)。二酸化炭素消火器は蓄圧式ですが、液化CO₂は温度で圧力が変動するため指示圧力計が付いていません。加圧用ガス容器も使いません(CO₂自体が加圧ガスとして容器内に液体で封入されている)。消火器の部品構成から消火器の種類を特定する――実務でも試験でも大切なスキルです。

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