結論から言います
二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器は、どちらもガス系の消火器です。薬剤が気体(またはすぐ気化する液体)なので、放射後に残留物がほとんどありません。
ポイントを先にまとめると:
| 項目 | 二酸化炭素消火器 | ハロゲン化物消火器 |
|---|---|---|
| 薬剤 | 液化二酸化炭素(CO₂) | HFC系(代替ハロン)等 |
| 消火原理 | 窒息消火 | 抑制消火(負触媒作用) |
| 適応火災 | B・C火災 | B・C火災 |
| 最大の強み | 汚損ゼロ | 汚損ゼロ+消火力が高い |
共通する特長は「消した後に何も残らない」こと。電子機器や精密機械がある場所に最適です。粉末だと粉が機器に入り込み、泡だと水分でショートする――ガス系ならその心配がありません。
二酸化炭素消火器
薬剤と消火原理
薬剤は液化二酸化炭素(CO₂)です。容器の中では高圧で液体の状態ですが、放射されると一気に気化して白い霧状になります。
消火原理は窒息消火です。大量のCO₂が燃焼面を覆い、酸素濃度を下げて火を消します。
試験のポイント
構造の特徴
二酸化炭素消火器の構造は、これまでの消火器と大きく異なる点がいくつかあります。
他の消火器との構造上の違いを確認しましょう。
| 特徴 | 他の消火器 | CO₂消火器 |
|---|---|---|
| 指示圧力計 | あり(蓄圧式) | なし |
| ノズル形状 | 通常のノズル | ホーン(ラッパ型) |
| 安全弁 | なし(低圧) | あり(高圧のため) |
| 加圧方式 | 蓄圧式/加圧式 | 自圧式(薬剤自身の圧力) |
| 容器 | 薄い鋼板/ステンレス | 肉厚の高圧容器 |
なぜ指示圧力計がないのか?
蓄圧式消火器には必ず付いている指示圧力計が、CO₂消火器にはありません。なぜでしょう?
理由はCO₂の圧力が温度によって大きく変化するからです。容器内のCO₂は液体と気体が共存しています。温度が上がれば蒸気圧が上がり、下がれば下がります。つまり圧力計の数値は「薬剤がどれだけ残っているか」ではなく「今の温度」を示してしまうのです。
ではどうやって薬剤の残量を確認するのか? 答えは重量(質量)です。CO₂消火器は秤(はかり)で重さを量って充填量を確認します。
最重要ポイント
適応火災
A火災に不適応な理由は、CO₂には冷却効果がほとんどないからです。木材や紙などの固体可燃物は内部まで高温になっています。CO₂で一時的に酸素を遮断しても、CO₂が空気中に散ってしまえば、高温の可燃物がまた燃え始めます。
ハロゲン化物消火器
薬剤と消火原理
ハロゲン化物消火器の薬剤は、ハロゲン元素(フッ素・塩素・臭素など)を含む化合物です。
| 区分 | 薬剤例 | 現状 |
|---|---|---|
| 旧型(ハロン系) | ハロン1301、ハロン2402 | 生産中止(オゾン層破壊) |
| 現行品(代替ハロン) | HFC-23、HFC-227ea | 製造・使用中 |
試験のポイント
消火原理は抑制消火(負触媒作用)が主です。ハロゲン化物の分子が燃焼の連鎖反応に割り込み、化学的に反応を断ちます。これは粉末消火器(ABC粉末)の消火原理と同じ系統です。
構造の特徴
ハロゲン化物消火器は蓄圧式です。窒素ガスで加圧するため、指示圧力計が付いています。
ここで重要な比較ポイントです。
| 項目 | CO₂消火器 | ハロゲン化物消火器 |
|---|---|---|
| 加圧方式 | 自圧式 | 蓄圧式 |
| 指示圧力計 | なし | あり |
| 安全弁 | あり | なし |
| ノズル形状 | ホーン(ラッパ型) | 通常のノズル |
| 残量確認 | 重量(質量) | 指示圧力計 |
最重要ポイント
適応火災
ハロゲン化物消火器もCO₂消火器と同じくB火災・C火災に適応し、A火災には不適応です。
A火災に不適応な理由もCO₂と同様、冷却効果が弱いため固体可燃物の再燃を防げないからです。
ガス系消火器の使用上の注意
ガス系消火器には他の消火器にはない危険性があります。試験でもよく出題されるポイントです。
ガス系消火器の長所と短所
| 長所(共通) | 短所(共通) |
|---|---|
| 汚損がゼロ(気化して残らない) | A火災に不適応 |
| C火災に強い(電気を通さない) | 密閉空間では酸欠・有毒ガスの危険 |
| 精密機器・電子機器に最適 | 屋外では風でガスが散って効果が薄い |
| B火災にも対応 | 再燃しやすい(冷却効果が弱い) |
「汚損ゼロ」がガス系消火器の最大のメリットです。サーバールーム、電気室、通信機器室、美術館の収蔵庫など、消火後の被害を最小限にしたい場所で選ばれます。
全5種類の消火器を比較しよう
ここまで学んだ5種類の消火器を横断的に整理します。
| 消火器 | 消火原理 | A | B | C |
|---|---|---|---|---|
| 粉末 | 抑制 | ○ | ○ | ○ |
| 強化液(霧状) | 冷却 | ○ | ○ | ○ |
| 機械泡 | 窒息 | ○ | ◎ | ✕ |
| CO₂ | 窒息 | ✕ | ○ | ◎ |
| ハロゲン化物 | 抑制 | ✕ | ○ | ◎ |
覚え方のコツ
まとめ問題
記事の内容が理解できたか、チェックしてみましょう!
【問題1】
二酸化炭素消火器に指示圧力計が付いていない理由として、正しいものはどれか。
(1)加圧式消火器であるため指示圧力計が不要
(2)容器内の圧力が低いため測定の必要がない
(3)CO₂の圧力は温度で大きく変化し、薬剤残量を反映しないため
(4)製造コストを抑えるために省略されている
【問題2】
ハロゲン化物消火器について、正しいものはどれか。
(1)消火原理は冷却消火である
(2)ハロン系薬剤は現在も新規に生産されている
(3)蓄圧式であり、指示圧力計が付いている
(4)A火災・B火災・C火災すべてに適応する
【問題3】
二酸化炭素消火器の使用上の注意として、誤っているものはどれか。
(1)密閉空間で使用すると酸欠の危険がある
(2)放射中にホーンに素手で触れると凍傷の危険がある
(3)屋外で使用すると風でガスが散って効果が薄くなる
(4)放射後に粉末が飛散するため清掃が必要である
【問題4(応用)】
ある会社のサーバールームに消火器を設置する際、二酸化炭素消火器またはハロゲン化物消火器が選ばれることが多い。その理由としてもっとも適切なものはどれか。
(1)ガス系消火器はA火災に強く、サーバーの樹脂部品の火災に対応できるため
(2)ガス系消火器は消火速度がもっとも速く、迅速に初期消火ができるため
(3)ガス系消火器は薬剤が気化して残留物がなく、精密機器への二次被害を防げるため
(4)ガス系消火器は密閉空間でも安全に使用でき、人体への影響がないため