乙種6類

機械泡消火器の構造と機能|泡で油火災を消す仕組みを解説

結論から言います

機械泡消火器は界面活性剤の水溶液をノズルで空気と混ぜ、泡にして放射する消火器です。

ポイントを先にまとめると:

  • 薬剤:水成膜泡消火薬剤や合成界面活性剤泡消火薬剤(液体)
  • 消火原理:窒息消火(泡で燃焼面を覆う)が主体、冷却消火が補助
  • 適応火災:A火災(普通火災)・B火災(油火災)
  • C火災には不適応:泡は水を含むため電気を通す
  • 加圧方式:蓄圧式
  • 最大の強み:油火災に強い。泡が油面を覆い、再燃を防ぐ

「泡(あわ)で火を消す」――イメージしやすい消火器ですが、試験では「なぜ泡で消えるのか」「なぜC火災に使えないのか」が問われます。仕組みから理解していきましょう。

 

機械泡消火器の薬剤

機械泡消火器に使われる薬剤は液体です。容器の中に入っているのは泡ではなく、「泡のもと」である水溶液。放射時にノズルで空気を混ぜることで、はじめて泡になります。

主な薬剤は2種類あります。

薬剤名 特徴
水成膜泡消火薬剤 油面にフッ素系の薄い膜(水成膜)を形成。再燃防止に優れる
合成界面活性剤泡消火薬剤 界面活性剤で泡を作る一般的なタイプ

試験のポイント

「機械泡」の「機械」とは何か? それは「機械的に泡を作る」という意味です。薬剤の水溶液をノズルで空気と混合し、物理的(機械的)に泡を作ります。これに対して「化学泡」は2つの薬剤の化学反応で泡を作る方式です(現在は製造中止)。この違いは試験で問われます。

 

泡ができるしくみ

機械泡消火器の最大の特徴は発泡ノズルです。ここで泡が作られます。

泡が作られる流れ
① 薬剤が上がる
レバーを握ると
窒素ガスの圧力で
薬剤がサイホン管を
通って上昇
② 空気を吸い込む
発泡ノズルの
空気吸入口から
外気が吸い込まれ
薬剤と混合
③ 泡になって放射
ノズル内の
通過する際に
細かい泡に変わり
放射される

ポイントは、容器の中には泡は入っていないということです。あくまで液体の状態で保存されていて、放射の瞬間にノズルで空気と混ぜて泡にします。だから「機械」泡なのです。

 

機械泡消火器の構造(蓄圧式)

基本構造は強化液消火器の蓄圧式とほぼ同じですが、ノズル部分が大きく異なります

蓄圧式機械泡消火器の構造
上部(操作部)
レバー(上下2本)
安全栓(黄色のピン)
指示圧力計(圧力ゲージ)
ホース+発泡ノズル
キャップ
内部(容器内)
本体容器
泡消火薬剤(液体の状態)
サイホン管(底まで伸びる管)
加圧用ガス(窒素ガス)
※容器内に常時充填
発泡ノズルの構造
発泡ノズルの部品
空気吸入口:外気を取り込む穴
発泡網(メッシュ):薬剤+空気を
 細かい泡に変える金網
ノズル本体:泡を放射する出口
他の消火器との違い
粉末消火器:単純なノズル
強化液消火器:棒状/霧状切替ノズル
機械泡消火器:発泡ノズル
→ 空気吸入口+発泡網が特徴

注意

発泡ノズルの空気吸入口が詰まると泡が作れません。点検時には空気吸入口の詰まりがないか確認することが重要です。

 

適応火災

機械泡消火器の適応火災はA火災とB火災です。C火災には使えません。

機械泡消火器の適応火災
A火災 ○
普通火災
木材・紙・布など

泡の中の水分で
冷却消火

B火災 ◎
油火災(得意)
ガソリン・灯油など

泡が油面を覆って
酸素を遮断(窒息消火)

C火災 ✕
電気火災(不適応)
電気設備など

泡は水を含むため
電気を通す

最重要ポイント

機械泡消火器はC火災(電気火災)に使えません。泡は水を含んでいるため感電の危険があります。強化液消火器は霧状放射ならC火災に使えましたが、泡は霧のように粒が分散しないため、電気の通り道が途切れません。この違いは試験で頻出です。

 

なぜB火災(油火災)に強いのか?

油火災に水をかけると、高温の油が一気に蒸発した水を弾き飛ばし、燃えた油が周囲に飛散します。非常に危険です。

しかし泡は違います。泡は油よりも軽いため、油面の上に浮かんで広がります。泡の層が油面を覆い尽くすことで:

  • 酸素を遮断 → 窒息消火
  • 油の蒸発を抑える → 可燃性ガスの発生を止める
  • 泡の層が長時間残る → 再燃を防止

とくに水成膜泡消火薬剤は、泡の下にフッ素系の薄い膜(水成膜)を形成します。泡が消えた後もこの膜が油面を覆い続けるため、再燃防止効果がとても高いのです。

 

操作手順

操作方法は他の消火器と同じ3ステップです。

機械泡消火器の使い方 3ステップ
① ピンを抜く
安全栓(黄色いピン)
を上に引き抜く
② ホースを向ける
ノズルを火元に向ける
油火災の場合は
壁や床に当てて
泡を広げるように
③ レバーを握る
上レバーを強く握る
泡を燃焼面に
静かに積もらせる

注意

油火災に泡を放射するとき、油面に直接勢いよく当てないことが大切です。油が飛び散る原因になります。壁や容器の縁に当てて、泡を静かに流し込むように放射するのがコツです。

 

機械泡消火器の長所と短所

長所 短所
B火災(油火災)に特に有効 C火災(電気火災)に使えない
泡が燃焼面を覆い再燃を防ぐ 本体が重い(液体が重い)
A火災にも冷却効果で対応 凍結のおそれ(水ベース)
視界を遮りにくい 薬剤が経年劣化しやすい

 

化学泡消火器との違い

「泡消火器」には機械泡化学泡の2種類がありました。試験ではこの違いが問われることがあります。

機械泡 vs 化学泡
機械泡消火器(現行)
泡の作り方:物理的に混合
(薬剤+空気をノズルで混ぜる)

薬剤:界面活性剤の水溶液
(容器内は1つの薬剤)

方式:蓄圧式
操作:レバーを握る
状態:現在も製造・使用

化学泡消火器(製造中止)
泡の作り方:化学反応で生成
(2つの薬剤を混ぜてCO₂の泡を作る)

薬剤:炭酸水素ナトリウム+硫酸アルミニウム
(容器内に2つの薬剤)

方式:転倒式(本体を逆さにする)
操作:本体を上下逆さまにする
状態:現在は製造中止

試験のポイント

化学泡消火器は現在は製造中止ですが、試験には出ます。最大の違いは泡の作り方です。機械泡は「空気と混ぜる(物理的)」、化学泡は「2つの薬剤を反応させる(化学的)」。また、化学泡は転倒式で操作する点も出題されます。

 

3種類の消火器を比較してみよう

ここまで学んだ粉末・強化液・機械泡の3つを並べて整理しましょう。

項目 粉末 強化液 機械泡
消火原理 抑制(主) 冷却(主) 窒息(主)
A火災
B火災 霧状のみ○ ◎(得意)
C火災 霧状のみ○
再燃防止 △弱い ◎強い ◎強い
消火速度 ◎速い ○やや遅い ○やや遅い
重量 軽い 重い 重い

それぞれ得意分野が違うのが分かりますね。粉末は「速さと万能性」、強化液は「冷却と再燃防止」、機械泡は「油火災への強さ」がそれぞれの持ち味です。

 

まとめ問題

記事の内容が理解できたか、チェックしてみましょう!

 

【問題1】
機械泡消火器の泡はどのようにして作られるか。正しいものはどれか。

(1)容器内に2つの薬剤が入っており、化学反応で泡を作る
(2)容器内の薬剤がノズルの空気吸入口から外気を取り込み、物理的に泡を作る
(3)容器内で薬剤と窒素ガスが反応して泡になる
(4)容器内に泡の状態で保存されており、そのまま放射する

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正解:(2)容器内の薬剤がノズルの空気吸入口から外気を取り込み、物理的に泡を作る
機械泡消火器は、容器内の液体薬剤が放射される際に発泡ノズルの空気吸入口から外気を取り込み、発泡網で物理的に(機械的に)泡を作ります。(1)は化学泡消火器の説明です。(3)窒素ガスは加圧用であり薬剤と反応しません。(4)容器内には液体の状態で保存されています。

 

【問題2】
機械泡消火器が適応する火災の組み合わせとして、正しいものはどれか。

(1)A火災・B火災・C火災
(2)A火災・B火災
(3)B火災のみ
(4)A火災・C火災

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正解:(2)A火災・B火災
機械泡消火器はA火災(普通火災)とB火災(油火災)に適応します。泡は水を含んでいるため電気を通し、C火災(電気火災)には使えません。B火災に特に強いですが、A火災にも泡の中の水分による冷却効果で対応できます。

 

【問題3】
機械泡消火器と化学泡消火器の違いについて、誤っているものはどれか。

(1)機械泡消火器は薬剤と空気を物理的に混合して泡を作る
(2)化学泡消火器は2種類の薬剤の化学反応で泡を作る
(3)化学泡消火器は転倒式で操作する
(4)化学泡消火器は現在も新規製造されている

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正解:(4)化学泡消火器は現在も新規製造されている ← これが誤り
化学泡消火器は現在、製造中止となっています。(1)機械泡は薬剤を発泡ノズルで空気と混合して物理的に泡を作ります(正しい)。(2)化学泡は炭酸水素ナトリウムと硫酸アルミニウムの反応でCO₂を含む泡を作ります(正しい)。(3)化学泡は転倒式で、本体を逆さにして操作します(正しい)。

 

【問題4(応用)】
飲食店の厨房に消火器を設置する場合、機械泡消火器が粉末消火器よりも有利な点として、もっとも適切なものはどれか。

(1)粉末消火器より消火速度が速い
(2)粉末消火器より軽量で持ち運びやすい
(3)泡が油面を覆うため、油鍋の火災で再燃を防ぎやすい
(4)C火災にも対応できるため万能である

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正解:(3)泡が油面を覆うため、油鍋の火災で再燃を防ぎやすい
飲食店の厨房では食用油による火災(B火災)のリスクが高く、これは機械泡消火器がもっとも得意とする場面です。泡が油面をしっかり覆うため、粉末消火器のように消火後に再燃するリスクが低くなります。(1)消火速度は粉末のほうが速いです。(2)機械泡のほうが重いです。(4)機械泡はC火災に不適応です。

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