乙種6類

消火器の分類と全体像|加圧方式・薬剤・適応火災の3軸でわかりやすく解説

結論から言います

消火器は3つの視点で分類できます。

  • 加圧方式 — 蓄圧式 or 加圧式
  • 消火薬剤の種類 — 粉末・強化液・機械泡・CO₂・ハロゲン化物
  • 適応する火災 — A火災(普通)・B火災(油)・C火災(電気)

乙種6類の試験では「この消火器はどの火災に使えるか?」「蓄圧式と加圧式の違いは?」が頻出です。この記事で消火器の全体像をつかんでおけば、個別の消火器を学ぶときにスムーズに理解できます。

分類①:加圧方式で分ける

消火器を使うとき、薬剤を外に押し出すための「圧力」が必要です。この圧力のかけ方で、消火器は2種類に分かれます。

蓄圧式(ちくあつしき)

容器の中にあらかじめ圧縮ガス(窒素ガス)を封入しておく方式です。

常に容器内に圧力がかかっているため、圧力ゲージ(指示圧力計)が付いています。レバーを握ると、もともと入っている圧力で薬剤がそのまま噴射されます。

特徴:

  • レバーを離すと放射が止まる(放射の中断が可能
  • 圧力ゲージで容器の状態を外から確認できる
  • 構造がシンプルで安全性が高い
  • 現在の主流はこちら

加圧式(かあつしき)

容器の中に加圧用ガスボンベ(CO₂ボンベ等)が内蔵されていて、レバーを握った瞬間にボンベに穴が開き、ガスが一気に容器内に充満して薬剤を押し出す方式です。

特徴:

  • 使用するまで容器内に圧力がかかっていない
  • 圧力ゲージが付いていない
  • レバーを握ったら途中で止められない(一気に全量放射)
  • 破裂事故のリスクがあるため、近年は蓄圧式への移行が進んでいる
蓄圧式 vs 加圧式
蓄圧式
常時加圧されている
圧力ゲージあり
放射の中断が可能
現在の主流
安全性が高い
加圧式
使用時にガスボンベで加圧
圧力ゲージなし
途中で止められない
旧来の方式
破裂事故のリスクあり

試験のポイント

「圧力ゲージ(指示圧力計)が付いているのはどちらか?」は鉄板の出題パターンです。答えは蓄圧式。常に圧力がかかっているから、それを確認するためのゲージが必要――と理屈で覚えましょう。

分類②:消火薬剤の種類で分ける

消火器は、中に入っている薬剤によって5種類に分かれます。

粉末消火器

もっとも普及している消火器です。建物の廊下や店舗で見かける赤い消火器のほとんどがこれ。

  • 薬剤:リン酸アンモニウム(ABC粉末)など
  • 消火原理:抑制消火(負触媒作用)+窒息
  • 特徴:A・B・C全火災に対応できる万能型。ただし再燃しやすい

強化液消火器

アルカリ性の水溶液(炭酸カリウム水溶液など)を使う消火器です。

  • 薬剤:炭酸カリウム水溶液など
  • 消火原理:冷却消火 + 霧状放射時は抑制効果も
  • 特徴:冷却効果が高く再燃防止に優れる。棒状放射と霧状放射がある

注意

強化液消火器を棒状に放射した場合、B火災(油火災)やC火災(電気火災)には適応しません。油を飛び散らせたり、感電の危険があるためです。霧状放射であればA・B・C全火災に対応できます。

機械泡消火器

水溶液とノズルの構造で機械的に泡を作り出す消火器です。

  • 薬剤:界面活性剤系の水溶液
  • 消火原理:窒息消火(泡で燃焼面を覆う)+ 冷却
  • 特徴:油火災に強い。ただしC火災(電気火災)には使えない(泡は電気を通すため)

二酸化炭素消火器(CO₂消火器)

液化した二酸化炭素を放射する消火器です。

  • 薬剤:液化二酸化炭素
  • 消火原理:窒息消火(CO₂で酸素を押し出す)
  • 特徴:薬剤が残らないため、精密機器のある場所に向く。A火災には適応しない。密閉空間では酸欠の危険あり

ハロゲン化物消火器

ハロンガスを放射する消火器です。

  • 薬剤:ハロン1301、ハロン2402など
  • 消火原理:抑制消火(負触媒作用)+ 窒息
  • 特徴:薬剤が残らず電気を通さない。オゾン層を破壊するため、現在は新規製造が制限されている

分類③:適応する火災で分ける

火災は3種類に分類されており、消火器にはそれぞれ「どの火災に使えるか」が決められています。

火災の種類 内容 マークの色
A火災(普通火災) 木材・紙・布など固体の可燃物
B火災(油火災) ガソリン・灯油・食用油など
C火災(電気火災) 電気設備・配線・変圧器など

覚え方

A → 「Ash(灰)」 = 燃えて灰になるもの → 普通火災
B → 「Boil(沸く)」 = 液体が沸くイメージ → 油火災
C → 「Current(電流)」 = 電気 → 電気火災
アルファベットと英単語のイメージで覚えると忘れにくいです。

消火器 × 適応火災の対応表

どの消火器がどの火災に使えるか、一覧で整理します。

消火器 A火災 B火災
粉末(ABC)
強化液(霧状)
強化液(棒状) ×
機械泡
CO₂ ×
ハロゲン化物 ×
消火器 C火災 備考
粉末(ABC) 万能型
強化液(霧状) 霧状ならC対応
強化液(棒状) × 感電の危険
機械泡 × 泡が導電するため
CO₂ 精密機器向き
ハロゲン化物 製造制限あり

試験のポイント

「C火災に使えないもの」を聞く問題が多いです。答えは機械泡消火器と強化液消火器(棒状放射)の2つ。どちらも水分を含んでいて電気を通すから、と理由で覚えましょう。
また、CO₂消火器はA火災に適応しないことも狙われます。CO₂は冷却効果が弱く、ガスが散った後に再燃するためです。

全体像の図解

消火器の3つの分類軸
加圧方式
蓄圧式
加圧式
薬剤の種類
粉末
強化液
機械泡
CO₂
ハロゲン化物
適応火災
A火災(普通)
B火災(油)
C火災(電気)

まとめ問題

記事の内容が理解できたか、チェックしてみましょう!

【問題1】
蓄圧式消火器の特徴として正しいものはどれか。

(1)使用時にガスボンベを破封して加圧する
(2)圧力ゲージ(指示圧力計)が付いていない
(3)レバーを離すと放射を中断できる
(4)現在は製造されていない

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正解:(3)レバーを離すと放射を中断できる
蓄圧式消火器は常に容器内に圧力がかかっており、レバーの操作で放射・中断をコントロールできます。(1)はガスボンベで加圧するのは加圧式の特徴です。(2)は逆で、圧力ゲージが付いているのが蓄圧式です。(4)蓄圧式は現在の主流です。

【問題2】
機械泡消火器がC火災(電気火災)に適応しない理由として正しいものはどれか。

(1)泡が高温で蒸発してしまうため
(2)泡に含まれる水分が電気を通し、感電の危険があるため
(3)泡が電気設備を腐食させるため
(4)泡の消火原理が電気火災に効果がないため

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正解:(2)泡に含まれる水分が電気を通し、感電の危険があるため
機械泡消火器の泡は水分を含んでおり、電気を通します。通電中の電気設備に放射すると、泡を伝って消火する人が感電する危険があります。同じ理由で、強化液消火器の棒状放射もC火災には使えません。

【問題3】
二酸化炭素消火器について、誤っているものはどれか。

(1)B火災(油火災)に適応する
(2)C火災(電気火災)に適応する
(3)A火災(普通火災)に適応する
(4)薬剤による汚損がほとんどない

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正解:(3)A火災(普通火災)に適応する ← これが誤り
二酸化炭素消火器はA火災(普通火災)には適応しません。CO₂による窒息消火は、ガスが拡散すると効果がなくなるため、木材や紙などの深部火災に対して冷却効果が不十分で再燃しやすいからです。B火災・C火災には適応し、薬剤が気体なので汚損もほぼありません。

【問題4(応用)】
あるオフィスのサーバールームに設置する消火器を選定する場合、もっとも適切なものはどれか。選定理由もあわせて考えてみよう。

(1)機械泡消火器
(2)強化液消火器(棒状放射)
(3)二酸化炭素消火器
(4)水消火器

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正解:(3)二酸化炭素消火器
サーバールームは精密機器が多い場所です。ここで重要なのは2つ。①C火災(電気火災)に対応していること、②薬剤で機器を汚損しないこと。二酸化炭素消火器はC火災に適応し、気体なので薬剤が残りません。(1)機械泡と(2)強化液(棒状)はC火災に適応しません。(4)水消火器も感電の危険があり、精密機器を水浸しにしてしまいます。ただし、CO₂消火器は密閉空間で使用すると酸欠の危険があるため、換気にも注意が必要です。

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