甲種1類

配管・バルブ・継手の種類と施工方法|水系消火設備の工事をわかりやすく解説

結論から言います。

水系消火設備の工事で一番重要なのが配管工事です。ポンプや消火栓がどれほど優秀でも、配管が正しく施工されていなければ水は届きません。甲種1類の試験では、配管の材質・バルブの種類・継手の使い分け・施工方法が出題されます。

配管の流体力学|ベルヌーイの定理・摩擦損失」では"配管の中を水がどう流れるか"という理論の話をしました。今回は"どんな配管を使い、どう組み立てるか"という実務と施工の話です。

配管工事の3要素
配管(パイプ)
水を運ぶ管
材質と肉厚で選ぶ
→ 炭素鋼管が主流
バルブ(弁)
水の流れを制御
開閉・逆流防止・圧力調整
→ 用途で使い分け
継手(つぎて)
管同士を接続
方向転換・分岐・口径変更
→ 接合方法で選ぶ

配管の種類と材質

水系消火設備で使われる配管

消防用の配管は高い圧力に耐え、腐食しにくいことが求められます。主に使われるのは次の種類です。

配管の種類 特徴 主な用途
配管用炭素鋼鋼管(SGP・白管) 亜鉛めっき付き、安価 湿式配管(一般)
圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG) 高圧に対応、肉厚 高圧配管・ポンプ周り
配管用ステンレス鋼管(SUS管) 耐食性が高い 腐食しやすい環境
銅管 軽量、加工しやすい スプリンクラーの枝管
硬質塩化ビニルライニング鋼管(VLP) 内面を樹脂でコーティング 腐食防止が必要な配管

SGPとSTPGの違い

試験で最も問われるのがこの2つの違いです。

SGP(配管用炭素鋼鋼管)は、一般的な水配管に使われる鋼管です。表面に亜鉛めっきを施した「白管(しろかん)」と、めっきなしの「黒管(くろかん)」があります。消防設備では主に白管を使います。亜鉛めっきがサビを防いでくれるからです。

STPG(圧力配管用炭素鋼鋼管)は、SGPより肉厚で高い圧力に耐えられます。ポンプの吐出側や高圧がかかる部分に使います。

覚え方
SGP → Steel Gas Pipe(ガス管由来)→ 一般配管
STPG → Steel Tube Piping for pressure service → 圧力配管
名前に「圧力(pressure)」が入っているSTPGのほうが高圧向き、と覚えましょう。

スケジュール番号

配管の肉厚を表す指標としてスケジュール番号(Sch)があります。数字が大きいほど肉厚で、高い圧力に耐えられます。

消防設備で主に使われるのはSch40(スケジュール40)です。これは「通常の使用圧力に十分耐えられる標準的な肉厚」を意味します。特に高圧がかかる場所ではSch80を使うこともあります。

バルブ(弁)の種類と用途

配管に取り付けるバルブは、水の流れを制御する重要な部品です。「加圧送水装置と附属装置」でも一部触れましたが、ここではバルブの種類を体系的に整理します。

開閉弁(しゃ断弁)

水の流れを開けたり閉めたりするバルブです。

名称 構造と特徴 用途
仕切弁(ゲートバルブ) 板状の弁体を上下させて開閉。全開時に流路抵抗が小さい 主配管の開閉
玉形弁(グローブバルブ) 弁体がS字の流路を通過。流量の微調整が可能 流量調整
バタフライ弁 円板を回転させて開閉。軽量でコンパクト 大口径配管の開閉
ボール弁 穴の開いた球体を90°回転。開閉が早い 小口径の開閉

仕切弁と玉形弁の使い分け ─ 試験の頻出ポイント

この2つの違いは試験によく出ます。

仕切弁は全開にすると弁体が流路の外に退避するため、流路抵抗がほとんどないのが最大の利点です。ただし、半開きの状態で使うと弁体が振動して損傷するため、流量の微調整には向きません。「全開か全閉か」の二択で使うバルブです。

玉形弁は弁体が流路の中央に位置するため、全開でも流路抵抗が大きくなります。しかし弁体の開き具合を調整できるため、流量の微調整ができます。その代わり圧力損失が大きいのが欠点です。

仕切弁(ゲートバルブ)
流路抵抗 → 小さい
流量調整 → 不可(全開or全閉)
使い方 → 主配管の開閉
玉形弁(グローブバルブ)
流路抵抗 → 大きい
流量調整 → 可能(中間開度OK)
使い方 → 流量の微調整

逆止弁(チェックバルブ)

水の逆流を防ぐバルブです。水は一方向にしか流れず、逆方向に流れようとすると弁体が自動的に閉じます。

名称 構造 特徴
スイング式逆止弁 弁体がヒンジで回転 圧力損失が小さい。横配管向き
リフト式逆止弁 弁体が上下に移動 密閉性が高い。縦配管向き

消防ポンプの吐出側には必ず逆止弁を設置します。ポンプが停止したときに、配管内の水がポンプ側に逆流するのを防ぐためです。

その他の重要なバルブ

  • 安全弁(リリーフバルブ) ── 配管内の圧力が設定値を超えると自動的に開き、圧力を逃がします。ポンプの締め切り運転による異常高圧から配管を守る安全装置です
  • 減圧弁 ── 上流側の高い圧力を下流側で一定の低い圧力に維持します。高層建物で、上階の消火栓に過大な圧力がかからないようにするために使います
  • 制御弁 ── スプリンクラー設備で各階ごとに水の供給を止められる弁です。点検や修理のときに、建物全体ではなくその階だけ水を止められます

継手(つぎて)の種類

配管同士を接続したり、方向を変えたり、口径を変更したりする部品が継手です。

主な継手の種類

名称 用途
エルボ(90°・45°) 配管の方向を変える(直角・45度)
ティー(T字管) 配管を分岐する
レデューサー 口径の異なる配管を接続する(太→細)
ユニオン 取り外し可能な接合。点検用
フランジ 大口径の接合。ボルトで締結
カップリング(ソケット) 同径の配管を直線で接続
ニップル 短い管。機器と配管の接続

エルボと配管の摩擦損失

配管の流体力学」で学んだ等価管長(とうかかんちょう)を覚えていますか?エルボやティーなどの継手は、直管に比べて大きな圧力損失を生みます。90°エルボ1個の等価管長は管径の数十倍にもなります。

そのため、エルボの数が増えるほど摩擦損失が増え、ポンプに求められる全揚程が大きくなります。設計段階でエルボの数を減らす工夫が重要です。

配管の接合方法

配管と配管(または配管と継手)をつなぐ方法には、主に次の4つがあります。

配管の接合方法 4種類
① ねじ込み接合
管端にねじを切って締め込む
口径50A以下の小口径管向き
シールテープを巻いて漏れ防止
② 溶接接合
管を溶かして一体化する
強度・気密性が最も高い
大口径管・高圧配管向き
③ フランジ接合
フランジ同士をボルトで締結
取り外しが容易(点検・交換向き)
ポンプや機器との接続に使用
④ ハウジング型(グルービング)接合
管端に溝を切り、金具で挟む
施工が早い・火気不要
スプリンクラー配管で多用

ねじ込み接合の注意点

ねじ込み接合は小口径管の標準的な方法です。注意点は次のとおりです。

  • シールテープを管のねじ部に巻いて水漏れを防止する
  • ねじ込みすぎると管が割れる。適正なねじ込み量を守る
  • 亜鉛めっき鋼管(白管)のねじ部はめっきが削れるため、防食処理(防食ペイント等)を施す
  • 口径65A以上の大口径管にはねじ込み接合は使わない(強度不足)

溶接接合の注意点

溶接接合は最も強固ですが、施工には注意が必要です。

  • 亜鉛めっき鋼管は溶接不可 ── 溶接の熱でめっきが溶けて有毒ガスが発生し、さらに溶接部の防食性能がなくなる
  • 溶接後は管内のスケール(溶接カス)を除去する必要がある
  • 溶接部は非破壊検査(放射線透過試験など)で健全性を確認する場合がある
  • 火気を使うため、既存建物での施工には火気養生が必要

ハウジング型接合が増えている理由

近年の消防設備工事では、ハウジング型(グルービング)接合が増えています。理由はシンプルです。

  • 火気不使用 ── 溶接が不要なので、既存建物でも安全に施工できる
  • 施工が早い ── 管端に溝を切ってクランプで挟むだけ
  • 取り外しが容易 ── フランジ接合と同様に分解・再組立ができる

スプリンクラー配管ではハウジング型接合が主流になりつつあります。

配管の支持と固定

配管の吊り・支持

配管は自重と充水時の水の重さを支えるために、適切な間隔で支持金具(ハンガー・サポート)で固定する必要があります。

支持方法 説明
吊りバンド 天井から吊り下げて水平配管を支持。最も一般的
Uボルト U字型のボルトで配管を固定。立管や壁際の配管に使用
立バンド 壁面に固定して立管(縦の配管)を支持

耐震措置

地震時に配管が破損すると消火設備が使えなくなります。そのため、配管には耐震措置が求められます。

  • 振れ止め ── 配管が横方向に揺れないよう、斜めのブレース(筋交い)で固定する
  • フレキシブル継手 ── 建物の構造体と配管の間にゴムや蛇腹の継手を入れ、地震の揺れを吸収する
  • エキスパンションジョイント ── 建物のエキスパンションジョイント部分で配管が伸縮できるようにする継手

特にスプリンクラー設備は天井裏に大量の配管があるため、耐震対策が重要です。

配管工事の施工手順

水系消火設備の配管工事は、おおまかに次の手順で進めます。

配管工事の流れ
1
墨出し ── 図面をもとに配管ルートを現場にマーキング
2
支持金具の取付 ── ハンガー・サポートを天井や壁に設置
3
配管の切断・加工 ── パイプカッターで切断、ねじ切り・溝切り
4
配管の組立・接合 ── 継手・バルブを取り付けながら配管を組む
5
耐圧試験(水圧試験) ── 配管に水を満たして圧力をかけ、漏れがないか確認
6
フラッシング(管洗浄) ── 配管内のゴミ・切粉を水で洗い流す

耐圧試験(水圧試験)

配管の組立が完了したら、必ず耐圧試験を行います。配管内に水を満たし、設計圧力の1.5倍の圧力をかけて一定時間保持します。この間に圧力の低下や漏水がなければ合格です。

なぜ1.5倍かというと、実際の使用圧力に対して十分な安全余裕を確保するためです。配管に微小な欠陥があっても、1.5倍の圧力で漏れが出なければ、通常の使用では問題ないと判断できます。

フラッシング

耐圧試験の後、配管内を水で洗い流すフラッシングを行います。施工中に配管内に入った金属の切粉、砂、ゴミなどを除去するためです。これらの異物がスプリンクラーヘッドや噴霧ヘッドに詰まると、火災時に正常に作動しなくなります。

防火区画貫通処理

配管が防火区画(耐火壁・耐火床)を貫通する場合、貫通部分の隙間を耐火材料で埋める処理が必要です。これを怠ると、配管を通じて隣の区画に煙や炎が侵入し、防火区画の意味がなくなってしまいます。

  • 不燃材料の充填 ── モルタルやロックウールで隙間を埋める
  • 耐火パテ ── 熱で膨張して隙間を塞ぐ特殊なパテを使う方法
  • 樹脂管の場合 ── 熱で溶けて隙間が空くため、熱膨張材付きの措置が必須

金属管は高温でも溶けにくいため比較的安全ですが、それでも貫通部の隙間は必ず処理します。

まとめ問題

記事の内容を理解できたか、4問のクイズで確認しましょう。

【問題1】配管用炭素鋼鋼管(SGP)と圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)の違いとして、正しいものはどれか。

(1)SGPのほうがSTPGより肉厚である
(2)STPGはSGPより高い圧力に耐えられる
(3)SGPは溶接専用で、ねじ込み接合には使えない
(4)STPGは亜鉛めっき鋼管の別称である

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正解:(2)
STPG(圧力配管用炭素鋼鋼管)はSGP(配管用炭素鋼鋼管)より肉厚で、高い圧力に耐えられます。(1)は逆です。(3)のSGPはねじ込み接合でも使えます。(4)の亜鉛めっき鋼管はSGPの白管のことです。

【問題2】仕切弁(ゲートバルブ)の特徴として、正しいものはどれか。

(1)流量の微調整に適している
(2)全開時の流路抵抗が大きい
(3)全開または全閉で使用し、中間開度での使用には適さない
(4)逆流防止の機能がある

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正解:(3)
仕切弁は板状の弁体を上下させて開閉するバルブで、全開時に流路抵抗が小さいのが特徴です。半開きで使うと弁体が振動して損傷するため、全開か全閉で使います。(1)の流量調整は玉形弁の特徴。(2)の流路抵抗が大きいのも玉形弁。(4)の逆流防止は逆止弁の機能です。

【問題3】配管の接合方法について、誤っているものはどれか。

(1)ねじ込み接合は口径50A以下の小口径管に用いられる
(2)溶接接合は亜鉛めっき鋼管にも問題なく使用できる
(3)フランジ接合はボルトで締結するため、取り外しが容易である
(4)ハウジング型接合は火気を使わずに施工できる

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正解:(2)
亜鉛めっき鋼管は溶接できません。溶接の熱でめっきが溶けて有毒ガス(酸化亜鉛のヒューム)が発生し、さらに溶接部の防食性能が失われるからです。亜鉛めっき鋼管にはねじ込み接合やハウジング型接合を使います。

【問題4】配管工事における耐圧試験について、正しいものはどれか。

(1)配管内に空気を充填して試験する
(2)設計圧力と同じ圧力をかけて漏れを確認する
(3)設計圧力の1.5倍の圧力をかけて漏れを確認する
(4)耐圧試験はフラッシングの前に行う必要はない

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正解:(3)
耐圧試験(水圧試験)は、配管に水を満たして設計圧力の1.5倍の圧力をかけ、漏れや変形がないことを確認する試験です。(1)のように空気ではなく水を使います(水は非圧縮性で安全)。(2)の設計圧力と同じでは安全余裕が足りません。(4)について、耐圧試験はフラッシングの前に行い、その後フラッシングで異物を除去します。

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