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流水検知装置と一斉開放弁|アラーム弁・圧力スイッチ・リターディングチャンバーをわかりやすく解説

結論:流水検知装置は「水が流れたことを知らせる弁」

結論から言います。

流水検知装置とは、スプリンクラーヘッドが開放して配管内を水が流れたとき、それを自動的に検知して警報を出す装置です。別名「アラーム弁」とも呼ばれます。

スプリンクラー設備の全体像と方式」の記事で紹介したように、スプリンクラー設備にはポンプ・配管・ヘッドなど多くの機器がありますが、流水検知装置はヘッドの作動を設備全体に伝える「情報の要(かなめ)」です。

流水検知装置の役割
ヘッドが開放 → 水が流れる
流水検知装置が水の流れを検知
消防ポンプを自動起動
警報(ベル等)を鳴動

今回の記事では、流水検知装置の種類としくみ、そして開放型スプリンクラーで使われる一斉開放弁もあわせて解説します。

流水検知装置の種類 — 方式ごとに異なる

流水検知装置は、スプリンクラー設備の方式に対応して3種類あります。

流水検知装置 3つの種類
湿式流水検知装置
一次側・二次側とも加圧水
逆止弁(クラッパー弁)構造
最もシンプル
湿式スプリンクラーで使用
乾式流水検知装置
一次側=加圧水
二次側=圧縮空気
差圧でクラッパーを保持
乾式スプリンクラーで使用
予作動式流水検知装置
一次側=加圧水
二次側=大気圧 or 低圧空気
感知器の信号で電動弁が開放
予作動式SPで使用

これらに加えて、開放型スプリンクラーでは流水検知装置の代わりに一斉開放弁が使われます。一斉開放弁については後半で詳しく説明します。

湿式流水検知装置 — 最も基本的なしくみ

湿式スプリンクラーで使われる流水検知装置は、構造がシンプルで理解しやすいので、まずこれを押さえましょう。

構造と動作原理

湿式流水検知装置は、基本的に逆止弁(ぎゃくしべん)の構造をしています。弁体のことをクラッパーと呼びます。

湿式流水検知装置の構造
二次側(ヘッド方向)→ 加圧水で充填
クラッパー(弁体)
平常時は一次側と二次側の水圧が等しく、弁は閉じている
一次側(ポンプ方向)→ 加圧水で充填

平常時は一次側(ポンプ側)と二次側(ヘッド側)の水圧がバランスしていて、クラッパーは閉じたまま。水は流れません。

ヘッドが開放すると二次側の水圧が下がり、一次側の水圧がクラッパーを押し開けて水が流れ始めます。この水の流れを圧力スイッチが検知し、ポンプ起動と警報発信を行います。

湿式の動作フロー(詳細)
① ヘッド開放 → 二次側の水圧が低下
② 一次側の水圧でクラッパーが押し開かれる
③ 水がリターディングチャンバーに流入
④ 圧力スイッチが作動 → ポンプ起動+警報

リターディングチャンバーとは?

リターディングチャンバー(遅延室)は、流水検知装置の誤報を防ぐための小さなタンクです。

なぜ必要なのか? ―― 配管内の水圧は、温度変化や微小な漏れなどで一時的に変動することがあります。そのたびに圧力スイッチが反応してしまうと誤報だらけになってしまいます。

リターディングチャンバーは、クラッパーと圧力スイッチの間に設けられた小さな室(チャンバー)です。水がこのチャンバーを満たすまでに数秒間の遅延時間が発生します。

  • 一時的な圧力変動 → チャンバーが満たされる前に圧力が戻る → 圧力スイッチは作動しない(誤報防止)
  • 本当の火災(ヘッド開放) → 水が流れ続ける → チャンバーが満たされる → 圧力スイッチが作動(正常動作)

つまり「本当に水が流れているのか、一瞬の揺らぎなのか」を見分けるフィルターの役割ですね。

圧力スイッチの役割

圧力スイッチは、リターディングチャンバー内の水圧が一定以上になったときに作動するスイッチです。作動すると次の2つを行います。

  • 消防ポンプの自動起動 — 水源から水を送り続ける
  • 警報の発信 — 表示装置やベルで火災発生を知らせる

乾式流水検知装置 — 差圧でクラッパーを保持

乾式スプリンクラーでは、二次側(ヘッド側)の配管に水ではなく圧縮空気が入っています。乾式流水検知装置は、この状態で弁を閉じておく特殊な構造をしています。

差圧の原理

乾式流水検知装置のクラッパーは面積比が異なる構造になっています。

  • 一次側(水圧)が当たる面 → 小さい面積
  • 二次側(空気圧)が当たる面 → 大きい面積

「圧力 × 面積 = 力」なので、二次側の圧縮空気は圧力自体は低くても、面積が大きいため力では一次側の水圧に対抗できるわけです。これが「差圧の原理」です。

動作のしくみ

乾式流水検知装置の動作フロー
① ヘッド開放 → 二次側の圧縮空気が噴出
② 二次側の空気圧が低下 → 差圧バランスが崩れる
③ 一次側の水圧でクラッパーが開放
④ 水が二次側配管に流入 → ヘッドから放水

アクセレレーター(加速装置)

乾式には1つ弱点があります。ヘッドが開いてから水が到達するまでに時間がかかること。空気が抜けきるまで弁が完全に開かないからです。

これを補うのがアクセレレーター(加速装置)です。

アクセレレーターは、二次側の空気圧低下を検知すると、二次側の空気を急速に排出してクラッパーの開放を早めます。つまり「空気が抜ける→弁が開く」の時間を短縮する装置です。

予作動式流水検知装置 — 感知器の信号で電動弁を開く

予作動式は「ヘッドの開放」だけでなく、「火災感知器の作動」も条件に加えた二重チェック方式です。

動作のしくみ

予作動式流水検知装置の弁は、電動弁(または電磁弁)です。火災感知器からの信号を受けて電気的に開放します。

予作動式の動作フロー
火災発生
❶ 火災感知器が作動
❷ ヘッドの感熱体が破壊
❶の信号で電動弁が開放 → 水が配管に充填
❷で開放済みのヘッドから放水開始

ポイントは、感知器が作動しただけでは放水されないということ。感知器の信号で弁が開いて配管に水が充填されますが、ヘッドの感熱体が壊れていなければ水は出ません。

逆に、ヘッドが物理的に壊れても(例えば物をぶつけて割れた場合)、感知器が作動していなければ弁は閉じたまま。つまりどちらか片方だけでは放水しないのが予作動式の最大の特徴です。

だからサーバー室や美術館など、誤放水による被害が深刻な場所に使われるんですね。

一斉開放弁 — 開放型スプリンクラー専用

一斉開放弁は、流水検知装置とは異なるしくみの弁で、開放型スプリンクラー設備で使われます。

スプリンクラーヘッドの種類と機能」の記事で解説したとおり、開放型ヘッドには感熱体がありません。そのため、弁を開けたらすべてのヘッドから一斉に放水します。

起動方式

一斉開放弁の起動方式には2つのタイプがあります。

一斉開放弁の起動方式
加圧型
感知器が作動すると加圧水を送り込んで弁を開く方式

起動用配管に水圧がかかる
→ ピストンが動く
→ 一斉開放弁が開放

減圧型
起動用配管の圧力を抜いて弁を開く方式

平常時は圧力で弁を閉じておく
→ 感知器作動で圧力を排出
→ 一斉開放弁が開放

どちらの方式でも、火災感知器の作動または手動起動弁の操作で起動します。手動起動弁は一斉開放弁の近くに設置され、人の手でも起動できるようになっています。

末端試験弁と制御弁 — 日常管理に欠かせない機器

流水検知装置の周辺には、点検や管理のための重要な機器が2つあります。

末端試験弁

末端試験弁は、配管の最も遠い位置(末端)に設置される試験用の弁です。

この弁を開けると、ヘッド1個分と同等の流量の水が流れ出します。これにより、実際にヘッドを開放しなくても流水検知装置やポンプが正常に作動するかを確認できます。

  • 構成 — 仕切弁(開閉弁)+ 圧力計 + オリフィス(絞り)
  • オリフィス — ヘッド1個分の放水量に相当する口径の絞り。これを通すことで実際の火災時と同じ流量を模擬する
  • 確認できること — 流水検知装置の作動、圧力スイッチの作動、ポンプの自動起動、配管末端の放水圧力

試験対策ポイント

末端試験弁の「オリフィス」は、ヘッド1個分の流量を模擬する絞りです。試験では「末端試験弁の構成要素」として出題されることがあります。「仕切弁+圧力計+オリフィス」のセットで覚えましょう。

制御弁

制御弁は、スプリンクラー配管の水を止めるための弁です。階ごと(または放水区域ごと)に設置します。

重要なのは、制御弁は常時「開」の状態であるということ。閉じてしまうとその区域のスプリンクラーが使えなくなってしまいます。

では何のためにあるのか? ―― 点検や修理のときに、その階だけ水を止めて作業するためです。作業が終わったら必ず「開」に戻します。

まとめ — 流水検知装置と一斉開放弁の比較

弁の種類と対応する方式
流水検知装置(アラーム弁)
湿式: 水圧差でクラッパー開放
乾式: 差圧原理で保持→空気抜けで開放
予作動式: 感知器信号で電動弁開放

共通機器:
リターディングチャンバー(誤報防止)
圧力スイッチ(起動・警報)
末端試験弁(点検用)
制御弁(止水用・常時開)

一斉開放弁
開放型SP専用
感知器 or 手動起動弁で起動
全ヘッドから一斉に放水

起動方式:
加圧型(水圧で弁を開く)
減圧型(圧力を抜いて弁を開く)
手動起動弁(手動操作も可能)

理解度チェック! 練習問題

ここまでの内容を確認しましょう。

【問題1】湿式流水検知装置に設けられているリターディングチャンバーの役割として、正しいものはどれか。

  1. 配管内の水圧を一定に保つ
  2. ポンプの起動を遅延させて省エネにする
  3. 一時的な圧力変動による誤報を防止する
  4. 放水量を調整して水損を軽減する
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正解:C(一時的な圧力変動による誤報を防止する)
リターディングチャンバー(遅延室)は、配管内の温度変化や微小な圧力変動で圧力スイッチが誤作動するのを防ぐ装置です。水がチャンバーを満たすまでの遅延時間で、一時的な変動と本当の流水を区別します。

【問題2】乾式流水検知装置において、二次側の圧縮空気の圧力が一次側の水圧より低くてもクラッパーが閉じた状態を保てる理由として、正しいものはどれか。

  1. クラッパーにバネが付いていて閉じる方向に力がかかるから
  2. 二次側の空気圧が当たる面積が一次側より大きいから
  3. 二次側にリターディングチャンバーが付いているから
  4. 一次側の水圧を意図的に低く設定しているから
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正解:B(二次側の空気圧が当たる面積が一次側より大きいから)
乾式流水検知装置のクラッパーは、二次側(空気圧側)の受圧面積が一次側(水圧側)より大きく設計されています。「力=圧力×面積」なので、圧力が低くても面積が大きければ力で対抗できます。これが差圧の原理です。

【問題3】予作動式スプリンクラー設備について、正しい記述はどれか。

  1. ヘッドが破損しただけで自動的に放水が始まる
  2. 火災感知器が作動しただけで全ヘッドから放水が始まる
  3. 火災感知器の作動とヘッドの開放の両方がそろって初めて放水する
  4. 手動起動弁でしか起動できない
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正解:C(火災感知器の作動とヘッドの開放の両方がそろって初めて放水する)
予作動式は二重チェック方式です。感知器が作動して電動弁が開放し配管に水が充填されますが、ヘッドの感熱体が壊れていなければ放水されません。逆にヘッドが壊れても、感知器が作動していなければ弁は閉じたまま。両方の条件がそろって初めて放水します。

【問題4】末端試験弁の構成として、正しい組み合わせはどれか。

  1. 仕切弁、圧力計、オリフィス
  2. 逆止弁、流量計、ストレーナー
  3. 仕切弁、圧力計、リターディングチャンバー
  4. 電磁弁、圧力計、オリフィス
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正解:A(仕切弁、圧力計、オリフィス)
末端試験弁は「仕切弁(開閉弁)+圧力計+オリフィス(絞り)」の3点セットです。オリフィスはヘッド1個分の放水量に相当する口径の絞りで、実際にヘッドを開放しなくても流水検知装置やポンプの動作を確認できます。

【問題5】スプリンクラー設備の制御弁について、正しい記述はどれか。

  1. 常時「閉」の状態にしておき、火災時に開放する
  2. 常時「開」の状態にしておき、点検・修理時に閉止する
  3. 建物全体で1箇所だけ設置すればよい
  4. 流水検知装置と一体で設けなければならない
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正解:B(常時「開」の状態にしておき、点検・修理時に閉止する)
制御弁は階ごと(放水区域ごと)に設置し、常時「開」にしておきます。閉じてしまうとその区域のスプリンクラーが使えなくなるため、点検や修理のとき以外は絶対に閉止しません。作業後は必ず「開」に戻します。

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