乙種6類

消火器の耐圧性能点検|対象・水圧5分・手順を解説

消火器の耐圧性能点検では、本体容器を水道水で満たし、本体に表示された耐圧試験圧力値まで徐々に加圧します。その水圧を5分間かけ、本体容器とキャップに変形、損傷、漏れがないか確認します。

最初に押さえる6点

  1. 対象は、製造年から10年を経過したもの、または本体容器に腐食などが認められたものです。
  2. 前回の耐圧性能点検から3年を経過していないものは除かれます。
  3. 著しい腐食や著しい変形などは、試験せず廃棄します。
  4. 本体容器を水道水で満水にし、保護枠などをかぶせます。
  5. 本体表示の耐圧試験圧力値まで徐々に昇圧し、5分間確認します。
  6. 試験後は十分に排水・乾燥し、水分がないことを確認します。

この記事は、総務省消防庁「第1 消火器具 点検要領」と別添2「消火器の耐圧性能に関する点検方法」に沿って、対象、前処理、加圧、判定、乾燥までを整理します。

耐圧性能点検を自己流で行わない

耐圧性能点検は、消火器を分解し、専用の接続金具、保護枠、耐圧試験機などを使用する作業です。容器の破損や薬剤への水分混入を防ぐ設備・知識が必要です。実際の点検は資格者・専門業者へ依頼してください。

耐圧性能点検の対象

点検要領は、次のいずれかに当てはまる消火器を耐圧性能点検の対象としています。

  • 製造年から10年を経過したもの
  • 外形点検で本体容器に腐食などが認められたもの

ただし、前回の耐圧性能点検を実施してから3年を経過していないものは除かれます。「10年未満なら、腐食があっても対象外」ではありません。

著しい腐食などは試験しない

次のような状態は、高い水圧をかけて使用可否を探る対象ではなく、外形または内部の確認段階で廃棄します。

  • 著しい腐食、またはさびがはく離する状態
  • 溶接部の損傷
  • 機能上支障のおそれがある著しい変形
  • 本体容器内面の著しい腐食や防錆材料の脱落

消防庁も、腐食が進んだ消火器について、レバーを握ったり衝撃を与えたりしないよう注意喚起しています。腐食の状態を自己判断せず、専門業者へ相談してください。

10年・3年と使用期限は別の基準

耐圧性能点検の対象時期と、製品に表示された使用期限を混同しないことが重要です。

区分 意味 確認先
耐圧性能点検 法定点検で、本体容器とキャップの耐圧性能を確認する項目 消防庁の点検基準・点検要領
設計標準使用期限 標準的な使用条件で安全上支障なく使用できるよう設計された期限 本体表示・メーカー案内

日本消火器工業会は、業務用消火器の設計標準使用期限をおおむね10年と案内し、期限を過ぎたものは速やかに更新するよう求めています。したがって、耐圧性能点検に合格したことだけを理由に、表示された使用期限を無視して使用を延長できるとは限りません。

使用期限、腐食、交換の考え方は消火器の点検方法でも整理しています。

何を確認する試験か

判定対象は本体容器とキャップです。所定の水圧をかけた状態で、次の異常がないことを確認します。

  • 変形
  • 損傷
  • 漏れ、または漏水

試験圧力を記事独自の固定値にしません。使用するのは、消火器の本体容器に表示された耐圧試験圧力値です。

加圧方式ごとに前処理が異なる

水圧をかける共通工程へ進む前に、消火器を安全に分解し、薬剤を取り出して本体容器を確認します。前処理は加圧方式ごとに異なります。

加圧式(化学泡以外)

  1. 排圧栓があるものは開き、容器内圧を完全に排出する
  2. キャップを外し、加圧用ガス容器などを取り出す
  3. 消火薬剤を別の容器へ移す
  4. 本体容器の内外をエアーブローなどで清掃し、腐食や防錆材料の脱落などを確認する
  5. ホース、加圧用ガス容器を取り外し、安全栓を引き抜く
  6. 粉上り防止用封板を取り外す

加圧式の内部確認は加圧式消火器の内部点検手順を参照してください。

化学泡消火器

  1. キャップを外し、内筒を取り出す
  2. 消火薬剤を別の容器へ移す
  3. 本体容器の内外を水洗いし、腐食や防錆材料の脱落などを確認する
  4. ホースを取り外す

蓄圧式

  1. 指示圧力計の指針を確認する
  2. 排圧栓があるものは開き、ないものは容器をさかさにしてレバーを徐々に握り、容器内圧を完全に排出する
  3. 指示圧力計が0になったことを確認してからキャップを外す
  4. 消火薬剤を別の容器へ移す
  5. 本体容器の内外をエアーブローなどで清掃し、腐食や防錆材料の脱落などを確認する
  6. ホースを取り外す

蓄圧式の順序は蓄圧式消火器の内部点検手順で解説しています。

耐圧性能点検の共通工程

1.本体容器を水道水で満水にする

前処理と容器の確認が終わったら、本体容器を水道水で満水にします。加圧式(化学泡以外)と蓄圧式では、レバーを握ったままの状態でキャップを締めます。化学泡消火器は、満水にしてキャップを締めます。

満水にするのは、点検要領に定められた水圧試験の条件です。容器内へ意図的に空気を残して試験しません。

2.耐圧試験用接続金具を取り付ける

ホース接続部へ耐圧試験用接続金具を、加圧中に外れないよう確実に取り付けます。本体容器だけでなく、締め付けたキャップも判定対象です。

3.保護枠をかぶせ、耐圧試験機を接続する

万一の破損に備え、保護枠などを消火器へかぶせてから耐圧試験機を接続します。保護枠は省略してよい飾りではなく、点検要領に示された安全工程です。

4.表示圧力まで徐々に昇圧する

耐圧試験機を作動させ、締め付け部と接続部から漏れがないことを確認しながら、本体容器に表示された耐圧試験圧力値まで上げます。

急激な昇圧を避け、耐圧試験機の圧力計を見ながら徐々に昇圧します。

5.所定の水圧を5分間かける

表示された所定の水圧へ到達したら、5分間かけて、本体容器とキャップに変形、損傷、漏れがないことを確認します。

「加圧後に5分間放置」ではない

点検要領の表現は「所定の水圧を5分間かけて」です。試験中は圧力と試験対象の状態を確認します。

6.水圧を排除してから排水する

耐圧試験機の排圧栓から水圧を排除し、圧力計の指針が0になったことを確認してから、本体容器内の水を排水します。

圧力が残ったまま接続部を外してはいけません。

7.水分を十分に除去する

本体容器などの水分を、ウエスまたはエアーブローなどで除去します。粉末消火薬剤には水分が禁物なため、乾燥炉などで十分に乾燥させます。

本体容器内、サイホン管内、ガス導入管、キャップ部分などに水分がないことを十分に確認してから、部品の組み付け、消火薬剤の充てんなどへ進みます。薬剤の扱いは消火薬剤の充てん方法を参照してください。

合否判定後の扱い

所定の水圧をかけたとき、本体容器またはキャップに変形、損傷、漏れが生じたものは、点検要領の判定基準を満たしません。試験圧力を下げて合格扱いにしたり、現場判断で使用へ戻したりしてはいけません。

合格した場合も、それだけで製品の使用期限が延長されるわけではありません。本体表示、メーカー案内、他の点検項目を含めて使用可否を判断します。

耐圧性能点検と似た言葉の違い

用語 確認するもの
外形点検 本体容器や各部品の変形、損傷、腐食など
内部及び機能の点検 容器内面、薬剤、機構、部品など
耐圧性能点検 本体容器とキャップに所定の水圧をかけたときの変形、損傷、漏れ
蓄圧式の気密性 製品規格上、使用温度範囲で漏れなどを生じない性能

オリジナル確認問題

問題1

耐圧性能点検の対象として適切なものはどれか。

  1. 製造年から10年を経過したものだけ
  2. 腐食があっても10年未満なら対象外
  3. 製造年から10年を経過したもの、または本体容器に腐食などがあるもの
  4. すべて毎年実施する
答えと解説

正解:3。ただし、前回実施から3年を経過していないものは除かれます。

問題2

外形点検で著しい腐食が認められた消火器の扱いはどれか。

  1. 耐圧性能点検で最終判断する
  2. 放射して確認する
  3. 廃棄する
  4. 表面だけ塗り直す
答えと解説

正解:3。著しい腐食やさびのはく離などは、試験対象ではなく廃棄です。

問題3

耐圧性能点検で使用する圧力として適切なものはどれか。

  1. すべて一律1MPa
  2. 点検者が任意に決める値
  3. 本体容器に表示された耐圧試験圧力値
  4. 通常の指示圧力計の緑色上限
答えと解説

正解:3。急激な昇圧を避け、表示値まで徐々に上げます。

問題4

所定の水圧をかける時間はどれか。

  1. 30秒
  2. 1分
  3. 5分
  4. 30分
答えと解説

正解:3。5分間、変形、損傷、漏れがないことを確認します。

問題5

耐圧試験機を接続する前の安全工程はどれか。

  1. 薬剤を戻す
  2. 保護枠などを消火器へかぶせる
  3. 空気を充てんする
  4. キャップを外したままにする
答えと解説

正解:2。接続金具を確実に取り付け、保護枠などをかぶせます。

問題6

試験後の扱いとして適切なものはどれか。

  1. 圧力が残ったまま接続金具を外す
  2. 粉末消火器の内部へ少量の水を残す
  3. 圧力計が0になったことを確認して排水し、十分に乾燥する
  4. 合格すれば使用期限を無期限に延長する
答えと解説

正解:3。粉末薬剤には水分が禁物です。また、耐圧性能点検の合格と製品の使用期限は別に確認します。

まとめ

  • 対象は製造年から10年経過、または本体容器に腐食などがあるもの
  • 前回の耐圧性能点検から3年未満なら対象から除かれる
  • 著しい腐食、著しい変形、溶接部損傷などは試験せず廃棄する
  • 加圧方式に応じて安全に分解し、薬剤と部品を取り外す
  • 本体容器を水道水で満水にし、キャップと接続金具を取り付ける
  • 保護枠などをかぶせ、表示された圧力まで徐々に昇圧する
  • 所定の水圧を5分間かけ、変形、損傷、漏れを確認する
  • 水圧を排除し、圧力計が0になってから排水・乾燥する
  • 合格しても、表示された使用期限が自動的に延長されるわけではない

一次情報・参考資料

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

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