乙種1類 甲種1類

スプリンクラーヘッドの種類と機能|閉鎖型・開放型・感度種別・標示温度をわかりやすく解説

結論:スプリンクラーヘッドは「熱で自動開放する放水口」

スプリンクラーヘッドとは、天井面に取り付けられた小さな放水口です。火災の熱で感熱体(かんねつたい)が壊れると自動的に開放し、水を散水して消火します。

スプリンクラー設備の全体像と方式」の記事では5つの方式を紹介しましたが、今回はその心臓部であるヘッドそのものに焦点を当てます。

ヘッドには種類がたくさんありますが、大きく分けると2つです。

スプリンクラーヘッド 2つの大分類
閉鎖型ヘッド
感熱体で栓がされている
熱で感熱体が壊れると開放
火元のヘッドだけが作動
湿式・乾式・予作動式で使用
開放型ヘッド
感熱体がない(常時開放)
一斉開放弁の信号で放水
全ヘッドが同時に放水
開放型スプリンクラーで使用

試験では閉鎖型ヘッドが圧倒的に出題頻度が高いです。この記事では閉鎖型をメインに、感熱体のしくみ・標示温度・感度種別・取付方向まで詳しく解説します。

閉鎖型ヘッドのしくみ — 感熱体が「栓」の役割

閉鎖型ヘッドは、平常時は感熱体によって放水口がふさがれています。火災が発生すると、上昇した熱気で感熱体が壊れ、水が一気に噴き出します。

ポイントは、火元に近いヘッドだけが個別に開放すること。10個のヘッドが並んでいても、熱を受けた1〜2個だけが作動します。だから水損(みずによる被害)を最小限に抑えられるんですね。

感熱体の種類 — ヒュージブルリンクとグラスバルブ

感熱体には大きく2つのタイプがあります。

感熱体の2タイプ
ヒュージブルリンク型
低融点合金(はんだ等)で
金属片を接合
熱で合金が溶けて分離
栓が外れて放水昔から使われている方式
構造がシンプル

グラスバルブ型
液体を封入したガラス球
が放水口を押さえている
熱で液体が膨張
ガラスが破裂して放水現在の主流
液体の色で温度がわかる

現在はグラスバルブ型が主流です。理由はシンプルで、ガラス球の中の液体の色を見るだけで作動温度がわかるからです。次の「標示温度」のセクションで詳しく説明しますね。

標示温度と色分け — ヘッドはどの温度で作動するか

標示温度とは、そのヘッドが作動(開放)する温度のことです。

当然ですが、部屋の温度がちょっと上がっただけでヘッドが開いたら大変ですよね。かといって、高すぎる温度に設定すると火災が広がってからやっと作動する――これでは意味がありません。

だから、設置場所の最高周囲温度に応じて適切な標示温度を選ぶことが重要です。

選び方の基本ルール

施行規則では、標示温度は取付場所の最高周囲温度に応じたものを使うことが定められています。

一般的な目安はこうです。

設置場所 最高周囲温度 標示温度
一般居室・廊下 39℃以下 72℃前後
厨房・ボイラー室付近 40〜64℃ 96〜120℃
乾燥室等の高温環境 65℃以上 121℃以上

ざっくり言えば、「周囲温度より30℃程度高い標示温度」のヘッドを選びます。一般的なオフィスや住宅なら72℃のヘッドがほとんどです。

グラスバルブの色で温度がわかる

グラスバルブ型の大きなメリットは、ガラス球内の液体の色で標示温度がひと目でわかることです。

液体の色 標示温度 用途
オレンジ 57℃ 住宅用等
68℃ 一般居室
79℃ やや高温の場所
93℃ 厨房付近等
141℃ 高温環境
182℃ 特殊な高温場所
227〜260℃ 極高温環境

試験でよく出るのはオレンジ〜緑の範囲です。「赤=68℃=一般居室」は必ず覚えましょう。

試験対策ポイント

「温度が低い → オレンジ → 赤 → 黄 → 緑 → 青 → 紫 → 黒 → 温度が高い」の順番は、虹の色順(暖色→寒色→暗色)に近いイメージで覚えられます。

感度種別 — 標準型と高感度型(早期反応型)

ヘッドの「感度」とは、熱を受けてからどれだけ速く作動するかです。

感度の指標として使われるのがRTI(Response Time Index=感熱応答係数)です。この数値が小さいほど速く反応します。

種別 RTI値 特徴
標準型 80超 一般的なヘッド
高感度型(QR) 50以下 速く反応する

QRは「Quick Response(クイックレスポンス)」の略です。

高感度型ヘッドが必要な場所

高感度型ヘッドは、就寝施設など逃げ遅れのリスクが高い場所で使用が義務付けられています。

  • 病院・診療所(入院施設あり)
  • 社会福祉施設(特別養護老人ホーム等)
  • ホテル・旅館

なぜ就寝施設なのか? ―― 寝ている人は火災に気づくのが遅れます。だからヘッドがより速く作動して、火が小さいうちに消す必要があるんです。

ヘッドの取付方向 — 下向き・上向き・側壁型

スプリンクラーヘッドは取り付ける方向によって3つに分かれます。

ヘッドの取付方向 3タイプ
下向き型(ペンダント型)
天井面から下向きに垂れ下がる
最も一般的
オフィス・ホテル・病院等
天井面をすっきり見せやすい
上向き型(アップライト型)
配管の上に上向きに取り付け
天井がない場所に多い
倉庫・駐車場・機械室等
ぶつけて壊す心配が少ない
側壁型(サイドウォール型)
壁面に取り付ける
天井配管が困難な場所
廊下・ホテル客室等
片側に向かって散水

デフレクターの役割 — 水を散水パターンに変える

ヘッドから出た水は、そのままでは一直線に噴き出すだけです。これを広い範囲に均一に散水するために必要なのがデフレクター(散水板)です。

デフレクターは、ヘッドの先端に付いている平らな金属板です。ノズルから噴き出した水がデフレクターに当たり、放射状に飛び散ることで広い範囲をカバーします。

  • 下向き型 — デフレクターが下にある。水は下方に放射状に散水される
  • 上向き型 — デフレクターが上にある。水は上に噴き上がった後、デフレクターで下方に反射される
  • 側壁型 — デフレクターの形状が特殊。壁から離れる方向に片側散水する

デフレクターの形状や角度によって散水パターン(散水の広がり方)が変わるため、ヘッドの種類ごとに設計が異なります。

フラッシュ型とコンシールド型 — 見た目の違い

ヘッドの取付方向とは別に、見た目(意匠)の分類もあります。

フラッシュ型

天井面とほぼ面一(つらいち)になるように設置するタイプです。ヘッドの出っ張りが少なく、天井がすっきり見えます。

オフィスビルやホテルなど、美観を重視する場所でよく使われます。

コンシールド型

ヘッド全体をカバープレート(化粧板)で隠してしまうタイプです。

カバープレートは感熱機能を持っており、火災時にはカバーが先に脱落し、その後にヘッド本体が作動します。つまり二段階で動くわけです。

  • カバープレートの作動温度 → ヘッド本体の標示温度より低い温度(先に外れる必要があるため)
  • 見た目は天井と一体化してほとんど目立たない
  • ホテルの客室・高級オフィス等で採用

開放型ヘッド — 感熱体のないシンプル構造

最後に開放型ヘッドについても触れておきます。

開放型ヘッドには感熱体がありません。常に放水口が開いた状態です。では、どうやって放水を制御するのか?

答えは一斉開放弁です。「スプリンクラー設備の全体像と方式」の記事で解説した開放型スプリンクラーでは、火災感知器の信号で一斉開放弁が開き、配管に水が流れてすべてのヘッドから同時に放水します。

開放型ヘッドが使われる場所は、延焼が速い場所です。

  • 舞台(劇場)
  • 指定可燃物を大量に扱う倉庫
  • 化学工場

火元だけでなく周囲も含めて一気に消火する必要がある場所で使われる、ということですね。

まとめ — スプリンクラーヘッドの全体像

スプリンクラーヘッドの分類まとめ
閉鎖型ヘッド
感熱体: ヒュージブルリンク or グラスバルブ
標示温度: 設置場所に応じて選定
感度: 標準型 or 高感度型(QR)
取付方向: 下向き・上向き・側壁型
意匠: フラッシュ型・コンシールド型
開放型ヘッド
感熱体: なし(常時開放)
制御: 一斉開放弁で放水を制御
動作: 全ヘッドが同時に放水
用途: 延焼が速い場所
方式: 開放型スプリンクラー専用

理解度チェック! 練習問題

ここまでの内容を確認しましょう。

【問題1】閉鎖型スプリンクラーヘッドの感熱体として、現在最も多く使用されているものはどれか。

  1. バイメタル
  2. ヒュージブルリンク
  3. グラスバルブ
  4. 熱電対
解答を見る

正解:C(グラスバルブ)
グラスバルブ型は液体の色で標示温度がひと目でわかるため、現在の主流です。ヒュージブルリンク型は古くから使われていますが、現在はグラスバルブ型に置き換わっています。バイメタルは定温式感知器、熱電対は差動式分布型感知器の部品です。

【問題2】グラスバルブ型スプリンクラーヘッドの液体が赤色である場合、その標示温度として正しいものはどれか。

  1. 57℃
  2. 68℃
  3. 79℃
  4. 93℃
解答を見る

正解:B(68℃)
グラスバルブの色と温度の対応は、オレンジ=57℃、赤=68℃、黄=79℃、緑=93℃です。赤色は一般居室に最もよく使われる温度帯のヘッドです。

【問題3】高感度型(QR)スプリンクラーヘッドの使用が義務付けられている施設として、最も適切なものはどれか。

  1. 事務所ビル
  2. 駐車場
  3. 百貨店
  4. 病院(入院施設あり)
解答を見る

正解:D(病院(入院施設あり))
高感度型ヘッド(QR=Quick Response)は就寝施設で使用が義務付けられています。就寝中は火災に気づくのが遅れるため、ヘッドが速く作動して火を小さいうちに消す必要があるからです。病院(入院あり)、社会福祉施設、ホテル・旅館等が該当します。

【問題4】スプリンクラーヘッドのデフレクターの役割として、正しいものはどれか。

  1. 火災の熱を感知する
  2. 配管内の水圧を調整する
  3. 水を放射状に散水する
  4. 誤作動を防止する
解答を見る

正解:C(水を放射状に散水する)
デフレクター(散水板)は、ノズルから噴き出した水をぶつけて放射状に飛び散らせるための部品です。これにより広い範囲に均一に散水できます。熱の感知は感熱体(グラスバルブ等)の役割です。

【問題5】コンシールド型スプリンクラーヘッドについて、正しい記述はどれか。

  1. 感熱体を持たない開放型ヘッドの一種である
  2. カバープレートの作動温度はヘッド本体の標示温度より高い
  3. 火災時にカバープレートが先に脱落し、その後ヘッド本体が作動する
  4. 側壁に取り付ける専用のヘッドである
解答を見る

正解:C(火災時にカバープレートが先に脱落し、その後ヘッド本体が作動する)
コンシールド型は閉鎖型ヘッドをカバープレート(化粧板)で隠したものです。カバープレートの作動温度はヘッド本体の標示温度より「低い」設定で、先にカバーが外れてからヘッドが作動する二段階構造になっています。取付方向は下向き型が一般的で、側壁専用ではありません。

-乙種1類, 甲種1類